中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国"のカラクリ - 在米中国人経済学者の精緻な分析で浮かび上がる - (ワニブックスPLUS新書) の感想

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タイトル中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国"のカラクリ - 在米中国人経済学者の精緻な分析で浮かび上がる - (ワニブックスPLUS新書)
発売日販売日未定
製作者何 清漣
販売元ワニブックス
JANコード9784847061110
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

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著者は2名で二人ともアメリカ在住で経済学博士号を持つ人物、一人は報道分野の人でもう一人は大学人である。原著は中国語であるので、海外の中国人向けの本なのだろう。内容は、この手の本や情報に興味を持つ人ならかなりの程度知られている事が多く、新規なのはその解釈だ。例えば、中国経済の不動産バブルのひどさから、多くの論者はすぐに崩壊と言う予測を建てる。が、それは西側民主主義国での話で、中国のような共産党独裁の制度では、長期にわたる衰退を食い止める事はできないが、崩壊を先延ばしする力は強い。事実データからは(といっても中国では正確な数字をつかむ事はなかなか困難なので、周辺情報から推測するしかないのだが)、中国の不動産バブルはサブプライム危機のときのアメリカよりひどい。しかし、中国では何でもまかり通るのだ。何しろ政権が崩壊しても、受け皿の野党など存在しないし、政権は経済状況を直接コントロールする事ができる、そういう制度なのだ。

また、中国製造業の凋落は近年明確でその競争力の低下はごまかしようがない、中国に資源を輸出してもうけていた国々は大変な不況に喘いでいる訳だから。そこで、中国に好意的ないしは利害関係を持つ人は内需転換が更に中国を発展させるという。何しろ人口は13億で、GDPに占める消費性向は先進国に比べると数十%は低いから、伸びしろは巨大だと言う理屈だ。西側民主主義国ならその種の予想は妥当だろう。しかし、著者らが集めた情報では、中国の中産階級は多く見ても1.5億人で超富裕層は150万人いるが、それ以外の11.5億人は貧困層であり、中国の社会制度からして上昇する事はこれからもない。都市における農民工の状態を想起すれば良い。そして、ここが恐ろしい所だが、この格差は更に拡大する見通しだ。そもそも彼らに購買力を与えるだけの富は外国資本の撤退が続く国内で生産できる訳がない。そしてこの状態の改善の動機は支配層にはなく、現状維持こそが彼らの利益でそれを保証する政治経済体制が改革開放の30年で作られているからだ。そのため社会の暴力装置はますます強化されていて、有名な話だが、中国の場合国防費と国内治安対策費はほぼ同じなのだ。

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