日本の軍事力 自衛隊の本当の実力 (ベスト新書) の感想

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参照データ

タイトル日本の軍事力 自衛隊の本当の実力 (ベスト新書)
発売日販売日未定
製作者中村 秀樹
販売元ベストセラーズ
JANコード9784584125571
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

2ちゃんねるのまとめやら都市伝説的な話の中には「自衛隊最強伝説」のような話がちょくちょく見られます。
興味のある方はググっていただければ、その類の話はたくさん出てきます。
この本は、そういう記事を読んで「自衛隊最強!某国が尖閣諸島を占領しに攻め込んできても返り討ちにしてやるぜ!!」という皆様にぜひ読んで欲しい一冊です。
特に第一章の35ページから38ページをお読みください。筆者の推定する防衛出動発令から武力行使に至るまでの所要時間見積もりを読み、私は背筋がヒヤヒヤしました。最初読んだ時に見間違えたかと思って3回見直した位です。詳しくは本書を読んでいただければ分かりますが、武力行使に至るまで時間が掛かり過ぎなのです…しかも、ここの推定よりもっと時間が掛かってしまう可能性もあるということですから…。

そもそも防衛出動の決断が下されることにもあまり期待が出来ませんよね。
「シンゴジラ」を観た人であれば、大河内総理が防衛出動を促される場面を想像して貰えると分かりやすいかと。

どんなに強い兵器があろうとも、どんなに訓練された自衛官がいようとも、防衛出動・武力行使の命令が出なければ敵を攻撃することも出来ないというのが自衛隊の現実です。命令なしに敵を攻撃すれば、下手すると刑法犯としてお縄になってしまいます。「国民を守るために戦った結果起訴される」という笑えないギャグが現実となる可能性があるのが、我が国日本、ということです…。

本書は、軍事に関して全くの素人である私から見ても「ヤバイだろう、コレ…」という内容が満載でした。
・イラクではオランダ軍に守ってもらっていた自衛隊。オランダ軍が攻撃されたとしても自衛隊は「何もしない」
・防備がゆるゆるの海上自衛隊基地・停泊中の艦艇。不審者も乗車できる「巡回バス」で楽々基地の内部へ入れる。
・民間空港を共同使用した結果、スクランブル発進する空自機が旅客機の発着のために待たされる。
この他にも、自衛隊を取り巻く現実が「これでもか、これでもか」と記載されています。

 2009年に出版された『自衛隊が世界一弱い38の理由』に、大幅な加筆修正をしたものということですが、当時書かれた内容をさらに掘り下げながら、しかも読みやすい仕立てになっています。
 一人の一般国民の感覚としては、「自衛隊頑張れ!」というところで止まってしまいがちで、最近の日本周辺で起こっている領空・領海侵犯やミサイル発射などに対して、自衛隊が実際にどのような対処が可能なのかを詳しく知るところまでは、なかなか至らないのが現状でした。あらゆる行政組織がそうであるように、自衛隊もまた法律の下で規律され、運用されていることは想像できても、では実際にどのような運用になっているのか、日頃接する一般向けのニュースなどでは詳しく知ることができません。
 本書では、防衛大学校から海上自衛隊に入り、潜水艦艦長を務められた中村氏が、現場にいたからこそ分かる問題点を詳述されています。
大まかに、
 ①制度 ②法律 ③運用 ④組織 ⑤装備 ⑥実際の訓練や演習
といった区分で、現状を簡潔に伝えながら問題点を挙げ、最後に「自衛隊改造計画」を提案し、国家戦略や自衛官の意識まで踏み込んで、本来あるべき姿を考察しつつ、決して堅苦しくならない語り口でした。
 最後まで読み終わった時には、素人の一般国民でも、現在の問題をあらかた網羅する基本的な知識が得られる良書です。
 「防衛」というと、何かとても特別なことで、秘密も多いから政府にお任せという感覚がありますが、実際には運用を規律している制度や法律は、それを作る政治家を選ぶ有権者こそが知っておかなければいけないことなのだと、当事者意識を持つきっかけにもなります。
 「精神論」では解決しない、問題の全体像を把握するのに大変オススメです。

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