戦争の日本古代史 好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル戦争の日本古代史 好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者倉本 一宏
販売元講談社
JANコード9784062884280
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

古代の日本と朝鮮・中国との軍事・外交関係がおおよそ見えてくる。結構派兵や交渉を行っていたことが分かる。興味深いのは、昔習った「仏教伝来」、十七条の憲法、大化の改新(乙巳の変)などが皆東アジアの国際情勢と関係していたということ。

疑問に思うのは、所々妙に日本の為政者たちに批判的な記述があること。現代の視点で歴史を見てはいけないと言いながら、それをしてしまっているように思える。日本に大きな内戦は無かったというくだりで、将門に最後まで付き従ったのは20名ほどというが、そりゃ最後だから。保元の乱の清盛も300名というが、そりゃ洛中だから。この著者は富士川も倶利伽羅峠も知らないのだろう。専門の古代以外はかなり怪しい。

古代の朝鮮観が近代史に影響した、という著者の主張も強引に思える。近代の朝鮮観は、主に当時の情勢を背景に生じたと考える方が常識的だ。近現代史は素人なので軽率なことは言えないというが、言いまくってしまっているのではないか。著者は自分の研究が現代世界においても非常に重要だと言いたいのかも知れないが、我田引水と言わざるを得ない。

他のレビュアーの方々のコメントを拝見して、面白そうだと買ってみたのですが、私にとっては
どうもピンとこない1冊でした。
自分が知らなかった事実や説を幾つか知ることができたのは良かったです(「白村江への出兵
は、日本が中央集権国家を築くために敗戦を覚悟の上でおこなった」「元寇における元軍の一度
目の撤退は、予定された行動だった」など)。このあたりは著者の専門領域だからか、かなり
興味深い内容と感じました。
一方で違和感を感じたのが「近代日本が突然アジアを侵略し始めたのは、日本人が朝鮮半島
勢力をずっと敵視し、蔑視してきたから」という著者の主張です。隣国との間に軋轢が生じたり、
或いは内外の事情によって友好関係に転じたりということは、世界中どこでも起きてきたことです。
日本と朝鮮半島の関係においてのみ、古代史上の出来事を「これは日本が朝鮮を敵視する原因」
「これも日本が半島を蔑視する原因」などと列挙していくことに、何の意味があるのでしょう?
明治維新後の日本が朝鮮半島に介入したのは、大陸の強力な陸軍国が朝鮮半島を支配する
ことを恐れたからだと私は思っていました。著者の考えでは、江戸期を通じて友好関係にあった
朝鮮半島と、明治期以降急激に関係が悪化したことを説明できません。古代から日本人が朝鮮
半島を強く嫌忌していたなら、江戸時代はどうしてずっと友好関係が維持できたのでしょう?
まず著者の主張があって、それを正当化するためにご自身の古代史の知識を利用したのかな?
という印象を受けました。ただ、前述の通り興味深く読める箇所もかなりあったので、評価は☆3つ
とさせて頂きます。

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