裁判所の正体:法服を着た役人たち の感想
参照データ
タイトル | 裁判所の正体:法服を着た役人たち |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 瀬木 比呂志 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784104405039 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 |
購入者の感想
元裁判官で現大学教授の瀬木比呂志氏と現役ジャーナリストの清水潔氏の対談という形式で書かれた本で,かなり読み応えがある.瀬木氏は日本の裁判所の実態を批判してきた人で,彼から裁判の問題点を清水氏が聞き出していく.戦後,大審院が最高裁判所に昇格して,名目上は三権分立になったが,実態では司法は行政の追認機関に堕し,行政の批判者,憲法の擁護者としての機能を果たしていないと指摘する.下級裁判所が良心に従って独自の判決を下そうとしても,最高裁が人事権を一手に握っているので,裁判官は自爆覚悟でなければそれを実行できない仕組みになっている.司法府は立法府のように選挙による洗礼を受けることがないので,いったん握られた権力は滅多にひっくり返ることがないわけだ.最高裁長官に権力を独占させずに,裁判官の人事だけでも別の委員会で決められるように改革すべきであろう.
本書では触れられていないが,最高裁判事の国民審査をもっと実効あるものに改革することも重要なのではないか.×をつけなければ自動的に信認したことになるという現行制度は,どう考えてもズルすぎる.
本書では触れられていないが,最高裁判事の国民審査をもっと実効あるものに改革することも重要なのではないか.×をつけなければ自動的に信認したことになるという現行制度は,どう考えてもズルすぎる.