国家対巨大銀行―金融の肥大化による新たな危機 の感想

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タイトル国家対巨大銀行―金融の肥大化による新たな危機
発売日販売日未定
製作者サイモン・ジョンション
販売元ダイヤモンド社
JANコード9784478014752
カテゴリ » ジャンル別 » 投資・金融・会社経営 » 証券・金融市場

購入者の感想

アメリカの金融業界が、いかに政治に食い込み、これを徹底的に利用して規制緩和を行い、暴利をむさぼり、そして金融危機後も、政治を利用して甘い救済策を作り出してきたのかを述べ、独自の解決策を提示した本。

本書のエッセンスは、最終章にある。
そのために前段で、アメリカ建国の父ト−マス・ジェファーソンや金融恐慌から救ったルーズヴェルトが果たした役割を丁寧に解説している。

すなわち、ジェファーソンは権力集中を招くという理由から中央銀行の創設には反対し、ルーズヴェルトはあの有名なグラススティーガル法により、金融と投資の厳格な区分を果たした。

そして著者は、金融危機後にアメリカがとった方法、つまり「大きすぎてつぶせない」として、極めて投資銀行に有利な条件による救済策を批判し、政府による国有化と分割案を提示する。

確かに、政府による巨額救済がなされた後のアメリカは、投資銀行のみが息を吹き返す一方、失業率は高まり、景気の低迷から政府の税収は減少し、頼みの国債発行にも支障が出てきている。
まさに、かつて日本が歩んだ道と相似形をなしている。

そして、ソブリンリスクが高まりを見せつつあり、ヨーロッパ発の金融危機が足音を立てて迫りつつある今、著者のいうTBTF問題に立ち向かわなければ、世界中が長期にわたるりセッションに陥ってしまう可能性だけが高くなりつつあるように見える。

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