重力波で見える宇宙のはじまり 「時空のゆがみ」から宇宙進化を探る (ブルーバックス) の感想

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参照データ

タイトル重力波で見える宇宙のはじまり 「時空のゆがみ」から宇宙進化を探る (ブルーバックス)
発売日販売日未定
製作者ピエール・ビネトリュイ
販売元講談社
JANコード9784065020272
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本書のタイトルは「重力波で見える宇宙のはじまり」となっているが,まだ重力波では宇宙のはじまりは見えていないので,あまり適切なタイトルとはいえない.本書の内容は,アインシュタインの一般相対性理論,すなわちリーマン幾何学に基づいて定式化された重力場の理論の帰結を実際の天体観測と比較すること,そしてアインシュタイン方程式が宇宙全体にも適用できるとすると,どのような食い違いが見つかっているかを解説したものである.宇宙に関するキーワードはインフレーションとダークエネルギー,天体に関するそれはブラックホールと重力波だ.とくに2015年9月14日に,13億光年かなたの2つのブラックホールの合体から発せられた重力波が地上で見事にとらえれらたのは,重力波天文学の誕生を告げる劇的な出来事であった.本書では重力波の今後の観測計画についてかなり詳しく述べられている.
本書は,建前としてはまったくの初学者にもわかるように一切数式を用いずに初歩的な説明がしてあるが,実際上は一般相対性理論に関する基礎的な知識がなければよく分からないであろう.逆に,理論を既知の読者は,言葉で書いてあることを式に直してみて納得しなければならない.著者はフランスの理論物理学者だが,天体観測に関する技術的なことまでかなり造詣が深い人のようで,重力波観測に関する将来に期待をよせていたが,それを見ることなく今年(2017年)亡くなった.本書は解説書なのだが,かなり主観的エッセイめいた記述が散見される.たとえば,量子真空を京都の竜安寺の石庭になぞらえたりしている.物理の理論の紹介に関しては中道的な立場で書かれているが,やたらにフランス人の仕事の引用が目立つ.日本人の著した本には日本人の業績の引用が多いが,それと同様な現象なのだろう.

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