東京ダモイ (講談社文庫) の感想

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タイトル東京ダモイ (講談社文庫)
発売日2015-10-09
製作者鏑木蓮
販売元講談社
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購入者の感想

’06年、「第52回江戸川乱歩賞」受賞作2作品の内の1作。

私は、現行の乱歩賞受賞のポイントは2つあると思っている。
ひとつは、過去に扱われたことのない新しいテーマをメインモチーフとすること。
もうひとつは、昨今の大作全盛の時代に、原稿用紙350枚〜550枚という制限枚数の内でいかに事件を起こし、物語を展開させ、盛り上げ、まとめるか、である。

その点、本書はこの難しい両方のポイントを上手にクリアーした、いかにも乱歩賞らしい作品に仕上がっている。

テーマは、過去の、シベリアの捕虜収容所と、現代の、俳句集の自費出版を扱っている。殺人事件もシベリア収容所当時の昭和22年と、現代(平成17年)に起こっている。

また、過酷な強制抑留生活の生々しいありさまと、過去と現代の殺人事件を解明する鍵を、シベリア当時二等兵だった高津老人が、自費出版を希望する“手記を伴った俳句集”の中で述べる、という形にうまくまとめ、制限枚数の内で消化している。

ただ乱歩賞を意識するあまり、ストーリーの深刻さとか広がりを犠牲にしている感は否めない。高津老人の俳句が殺人事件を解明するヒントになっているというところも地味で、かつ難解である。

加えて、主人公が、自費出版の会社の若い編集者とやり手の女性上司なのか、現代の事件を捜査する刑事(たち)なのか、あいまいである。どちらかをはっきり中心に据えた方が良かったと思う。

枚数制限さえなければ、本来作者は、もっとセンセーショナルな事件を取り上げたり、もっと捕虜収容所の悲惨な抑留生活について述べたりしたかったのではないかと思う。

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