プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治 (NHK出版新書) の感想

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参照データ

タイトルプーチンはアジアをめざす 激変する国際政治 (NHK出版新書)
発売日販売日未定
製作者下斗米 伸夫
販売元NHK出版
JANコード9784140884485
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

プーチンが主宰する外交研究サークルにたびたび出席するロシア研究の第一人者が、プーチン外交の今後を分析している。著者のメッセージは明確で「プーチンは日本に好意的であり、四島交渉=平和条約を決着させる意志があるが、5年経てば難しくなる。今しか締結の機会はない」というもの。ウクライナ内戦で、ロシアは孤立を深め中国と接近している。こうしたロシアを取り巻く大国の近年の対露外交に加え、宗教の視点からウクライナ情勢やプーチンの個性を読み解いている。

オバマ政権で米国は孤立主義の道を歩んでいる。そのため、ウクライナ問題でも自国のロビーの言うまま親欧州派を支援し、ロシアとの溝を拡げた。エネルギーでロシアに依存する欧州は、対露制裁など表向き付き合うが経済は従来通り。中国はこの制裁でロシア経済に食い込み漁夫の利を得ようとしている。中ロ関係は親密に見えるが、「シベリア・極東の人口希薄地域に中国経済圏に飲み込まれるのではないか」という警戒感をロシアの外交サークルは持っている。ロシアは極東で日本と関係改善することで、中国への経済従属化を避けたい、というプーチンの意図を著者は見ている。日本もロシアと関係改善しなければ、ロシアが中国に飲み込まれ極東が敵だらけいう、好ましくない国際情勢に陥りかねない。

本書が提示するプーチン観は非常に親日的だ。プーチンは従来から「ロシアの東方シフト」を志向し、日中露で正三角形の関係を築いて極東を安定させようという考えだという。日本へのプーチンの細かい「親愛のサイン」を著者はいくつか示す。中国が提案した「北方領土との尖閣のリンケージ化」を拒否した、広島の土砂災害時に「即日」という異例の早さで弔電を送った、大統領の外交方針で「日露間の国境未確定」を明示した、ソチ五輪に出席した安倍首相を習近平を差し置いてメインゲストとして遇した……など。軍事的には挑発しているが、「条約交渉を進めよ」というボールをプーチンは出しているとのことだ。

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