ろまん燈籠 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | ろまん燈籠 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 太宰 治 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101006178 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
The book is a fast-read, well-written, exciting, and offers a surprising ending that is clever and believable. What a wonderful story!!
This is, hands down, one of the best and most powerful books I’ve ever read in my life. I have recommended it to countless people.
This is, hands down, one of the best and most powerful books I’ve ever read in my life. I have recommended it to countless people.
この短編集はとても明るいです。
透明な明るさと美しさに満ちています。時代背景は、日中戦争から全面戦争へ突入、
苦しい戦下にもかかわらず、この異様と思えるほどの明るい筆致は、むしろ背筋をぞくっとさせます。
玉砕した友人、夫を亡くした若い女性、厳しい日々を笑顔で過ごす人々。
太宰はこうした人達を慈しむように描いています。
明るい筆致の裏に哀しみと諦観が垣間見え、戦争下の異様な高揚感も伝わってきて、戦慄を禁じ得ません。
標題作の「ろまん燈籠」は、ある文化的な家庭で、家族が物語を連作するという一風変わった秀逸な作品です。
太宰の、幸福な家庭への温かい眼差しが感じられます。
「令嬢アユ」「雪の夜の話」
清らかさと優しさが美しく結実している名作です。
透明な明るさと美しさに満ちています。時代背景は、日中戦争から全面戦争へ突入、
苦しい戦下にもかかわらず、この異様と思えるほどの明るい筆致は、むしろ背筋をぞくっとさせます。
玉砕した友人、夫を亡くした若い女性、厳しい日々を笑顔で過ごす人々。
太宰はこうした人達を慈しむように描いています。
明るい筆致の裏に哀しみと諦観が垣間見え、戦争下の異様な高揚感も伝わってきて、戦慄を禁じ得ません。
標題作の「ろまん燈籠」は、ある文化的な家庭で、家族が物語を連作するという一風変わった秀逸な作品です。
太宰の、幸福な家庭への温かい眼差しが感じられます。
「令嬢アユ」「雪の夜の話」
清らかさと優しさが美しく結実している名作です。
本書中の『新郎』ほどの、日本語における清らかな名文は他にあるだろうか。
《一日一日を、たっぷりと生きて行くより他は無い。明日のことを思い煩うな。明日は明日みずから思い煩ん。きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして暮したい。青空もこのごろは、ばかに綺麗だ。舟を浮べたいくらい綺麗だ。山茶花の花びらは、桜貝。音たてて散っている。こんなに見事な花びらだったかと、ことしはじめて驚いている。何もかも、なつかしいのだ。……》
米英との開戦直後に書かれたこの随筆は、死を覚悟した高潔なやさしさとでもいうものが満ちている。
《明日の事を思うな、とあの人も言って居られます。朝めざめて、きょう一日を、十分に生きる事、それだけを私はこのごろ心掛けて居ります。私は、嘘を言わなくなりました。虚栄や打算でない勉強が、少しずつ出来るようになりました。明日をたのんで、その場をごまかして置くような事も今は、なくなりました。一日一日だけが、とても大切になりました。》
太宰ファンでなくとも、日本人ならばぜひ読んでほしい。
《一日一日を、たっぷりと生きて行くより他は無い。明日のことを思い煩うな。明日は明日みずから思い煩ん。きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして暮したい。青空もこのごろは、ばかに綺麗だ。舟を浮べたいくらい綺麗だ。山茶花の花びらは、桜貝。音たてて散っている。こんなに見事な花びらだったかと、ことしはじめて驚いている。何もかも、なつかしいのだ。……》
米英との開戦直後に書かれたこの随筆は、死を覚悟した高潔なやさしさとでもいうものが満ちている。
《明日の事を思うな、とあの人も言って居られます。朝めざめて、きょう一日を、十分に生きる事、それだけを私はこのごろ心掛けて居ります。私は、嘘を言わなくなりました。虚栄や打算でない勉強が、少しずつ出来るようになりました。明日をたのんで、その場をごまかして置くような事も今は、なくなりました。一日一日だけが、とても大切になりました。》
太宰ファンでなくとも、日本人ならばぜひ読んでほしい。