惡の華(9) の感想

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参照データ

タイトル惡の華(9)
発売日2013-08-09
製作者押見修造
販売元講談社
JANコード登録されていません
カテゴリ »  » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL

購入者の感想

かつて思春期だった者です。 常々、主人公の春日は変態でも何でもない ごく普通の少年だと思って読んでいます。 その、ごく普通の高校生の春日が当巻では 最高の告白シーンを魅せてくれています。 コミック史に残る素晴らしいシーンでした。

押見先生は観ている読者が逆に気恥ずかしくなってしまうような、そんな気持ちを掻き立てる描写が秀逸です。
春日が常磐さんを通じて自分と向き合い、それから気持ちを固めるシーンからはもどかしさと恥ずかしさでいっぱいになりました。
思春期の頃のあの気持ちが蘇ったような、そんな気分を味わえました。

前巻で再会した佐伯さんは表面上は変わっても、内面はそれほど変わっているようには思えませんでした。
そんな風に、人は簡単には変わらなかったり、変えられないものも多くありますが「それでも」変わろうとしている春日はもう幽霊ではありません。
春日が想像した仲村さんの幽霊には足がなく浮かぶだけだけれど、春日には自身の生身の足があり歩み始めたのですから。
トラウマとも言うべき過去の経験と向き合うことは思春期を終えても辛いものがありますが、真摯に向き合おうとする春日に成長を感じます。

思春期は周りの目線、特に異性からの目線が気になります。
自分本位に考えがちになる年頃であり、自分の世界は学校がほとんど中心であったと自身の過去を振り返ってもそう思います。
惡の華の素晴らしいところはそんな学生ばかりがクローズアップされるなかで、家族や周りの大人たちの描写があることです。
親との確執も思春期によくあることですが、そこに大人の目線も意識させる描写は本当にお見事です。

思春期に苛まれている・苛まれた少年少女に捧げます、と本の折り返しに毎巻記載があります。
ただ狂っているだけじゃない、そんなメッセージを感じられた巻でした。
本巻最後の華の移り変わりシーンがこれまでの経緯とこれからの兆しを象徴しています。
大人の階段を一歩昇ろうとする少年は様々な「思」いを咲かせて、人生の「春」の時「期」を越えていくのでしょう―そう、「春」の「日」に。
そして、もしかしたら変態という言葉には少年から大人へ「変」わる形「態」という意味が込められているのかもしれません。
次巻が待ち遠しいです。

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