十字架 (講談社文庫) の感想

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参照データ

タイトル十字架 (講談社文庫)
発売日2016-01-28
製作者重松清
販売元講談社
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 直木賞 » 101-125回

購入者の感想

重松清さんの著作を読むのは「流星ワゴン」に続き2作目です。
前作同様、タイトルと帯に惹かれて、本作を手に取りました。

この作品の内容を一言で表現すると、「いじめを苦に自殺をした一人の少年」の周囲にいた人々(または、強制的に関わりをもたせられた人々)が、どのように死と生を背負っていくのかを、丁寧な心理描写で綴る物語、です。

本作を、暗いとか、重いとか、感じる方もいらっしゃるだろうと思いますが、私にとっては、生き続けてゆく人々の姿を、夢や希望で塗り込めて虚像にするのではなく、水平の目線で真摯に愛情を込めて描いた良作だと思えました。
また、最終的には、読み手が前向きに生きてゆく力を得られるように、配慮されている作品だとも思えました。

網のような人間関係のなかに、ぽっかりと空いた穴は、決して埋められることはないのだという事実を、改めて思いました。

小説を読んで涙することは時々ありますが、嗚咽が漏れて最後のページを閉じられなかった作品は、本作が初めてでした。

初めてレビューを書く気持ちにさせられた作品でもありました。
10代前半の頃に、読んでみたかったとも、思いました。

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