河童・或阿呆の一生 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 河童・或阿呆の一生 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 芥川 龍之介 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101025063 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
今まで一体どれほどの人が、この後期芥川の狂気の世界観に影響されてきただろうか。おそらく、星の数ほど議論されてきた芥川の末期の思想の中で、一体どれほど正確にそれをつかんでいるものがあるだろう。おそらく多分ないだろう。それほどこれらの作品は常軌を逸している感を否めない。特に『歯車』ではドッペルゲンガーの影に悩まされているような描写があり印象的だ。
また『河童』では精神障害が逆に正常に転化するような世界、『或る阿呆の一生』の狂人の子供という、遺伝に苛まれる芥川の姿、といった世界は少なからず我々が隠し持っているそれに共通していることにふと気付かされる。これらの作品はそういった我々の押し込められている何かを、表面に浮かび上がらせるような力が存在する。小説家の技量と言うより、人間としての芥川の魅力に触れられる一冊と言えよう。
また『河童』では精神障害が逆に正常に転化するような世界、『或る阿呆の一生』の狂人の子供という、遺伝に苛まれる芥川の姿、といった世界は少なからず我々が隠し持っているそれに共通していることにふと気付かされる。これらの作品はそういった我々の押し込められている何かを、表面に浮かび上がらせるような力が存在する。小説家の技量と言うより、人間としての芥川の魅力に触れられる一冊と言えよう。