猫物語 (白) (講談社BOX) の感想

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参照データ

タイトル猫物語 (白) (講談社BOX)
発売日販売日未定
製作者西尾 維新
販売元講談社
JANコード9784062837583
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » ライトノベル

購入者の感想

  猫物語(黒)と明らかに違うのは前半の無駄話がなくなった事で、それ自体はむしろマイナス評価。もちろんストーリーを追う上では不要なのだが、そこが西尾維新作品の特徴であり、何らかのテーマを語るだけなら他の作家を読んだ方が良い。
 今巻は不幸な家族環境で育ちながら完全無欠な優等生である羽川翼の秘密がテーマ。実はそんな彼女自体が怪異なのだと言う視点は面白いし、彼女が生んだ猫と虎を回収し一緒に生きていこうと行動するくだりはなかなかに感動的。が私が高く評価したいのは、言葉遊びを駆使するセンスの良さだ。単なる駄洒落で本筋とは無関係と言ってしまってはいけない。それは文学なんか実生活の役に立たないから不要と言うのと変わらないのだから。

今回は羽川翼視点で描かれます。

一部のシリーズを除き結構な数の西尾作品を読んできましたが、
西尾維新さんがこれほど一人のキャラクターを掘り下げて書いたことはなかったんではないでしょうか?

他の本では殆ど感じたことはないのですが綴られた羽川さんの心のなかに作者本人の感覚や気持ちも感じました。
基本的に一人称で語られる西尾作品ですが主人公がいろいろな意味で一般人ではない場合が多く、内面描写に共感を感じることはあまりなかったんです。

頭が非常に良いとは描写されていますが羽川翼は今までで最も一般人に近い主人公だと思います、
その心の傷や怪異が引き受けた物も現実には他の形として現れることもある身近なものです。

過去を振り返り、心を辿り、周囲を見渡し、恐れながらも歩みを止めない羽川さんの物語に引き込まれながら読めました。

自分と怪異の物語を歩みきり、これからも先へゆく羽川翼というキャラクターに本を読んだあと拍手をしてあげたくなるような非常に読後感の良い本です。

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