メノン~徳(アレテー)について~ (光文社古典新訳文庫) の感想

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参照データ

タイトルメノン~徳(アレテー)について~ (光文社古典新訳文庫)
発売日2013-12-20
製作者プラトン
販売元光文社
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ギリシャ・ラテン文学

購入者の感想

メノンの結末は、僕にとって衝撃、であった。

「徳が何かは明確に定義できないし、我々が徳と呼んでいるものは、偶々その時、その人に神の恵みによって与えられるものなのだ。」

そんなこと、しゃあしゃあと言われれば、誰だって「ちょっと待ってね。そんなことありませんよぅ。いやそうかもしれないけど、そんなこと言ったら、善く生きるために努力するのも無駄だってこと?それを言っちゃ、元も子もないんじゃないの?」と思わず身を乗り出したくなる。

メノンは(自分が真面目かどうかは別にして)真面目に生きようとする人が思わず身を乗り出してしまうような引力を持った作品だ。言い過ぎを覚悟すれば、西洋哲学は、「メノンのテーゼ」への反抗として時代時代の様々な見え方を通して人々が格闘してきた道筋そのものに違いないとすら思ってしまう。

冷静になれば、「徳は○○に向けた努力で生まれる。」「人は誰でも、目指して頑張れば、善き生き方が出来る。」なんていう考えは、確かに我々の常識感覚に合わない部分があることは、否定できないのだが、「いや、でもさ!」と言いたくなる!納得しちゃうけど納得できない、納得したくない。そんな新しい世界に僕たちは引き込まれていく。ソクラテスの笑っている顔が浮かび、自分の心が動き出す。やっぱり対話篇って、面白いものですね。

プラトンの初期・中期・終期の中で、初期の最後期に書かれたと考えられる対話編。
メノンという若者を相手に、ソクラテスが、徳(アレテー)とは何かについて、対話する。
メノンは、初めに、ソクラテスに、徳は教えられる物かどうかを問うのだが、ソクラテスとの対話によって、そもそも徳が一体何なのか、理解していないことが露呈される。
しかし、ソクラテスは、メノンの意思を尊重し、まずは、徳が教えられるものかどうかを探求する。
そして、徳は、他の知識のように教えられるものではないことを明らかにしていく。
肝心の徳とは何か、という問題に対しては、時間切れとなり、この書では明らかにされない。
プラトンがこだわった対話編という形式の楽しさを、十二分に味わうことができる。
人生で本当に大切なものは、人から教えられるものではなく、自分自身が、対話も含めた経験をすることで、得るしかないのだ、とプラトンは言いたいのかもしれない。

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