チャップリンとヒトラー――メディアとイメージの世界大戦 の感想

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参照データ

タイトルチャップリンとヒトラー――メディアとイメージの世界大戦
発売日販売日未定
製作者大野 裕之
販売元岩波書店
JANコード9784000238861
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇

購入者の感想

チャップリンに関する膨大な資料を著者が読み解き丁寧に緻密に紡いだ感動感心の1冊でした。
この本を読み、もう一度独裁者を鑑賞する、そして再度この本を読み返す。
映画制作の背景を理解すると違った視点で鑑賞でき、一層深く楽しむ事が出来ました。

「黄金狂時代」「独裁者」映画を観ながら読み解くと、時代の背景、流れが良くわかり、とても興味深いものとなった。

『チャップリンとヒトラー――メディアとイメージの世界大戦』(大野裕之著、岩波書店)は、4日違いでこの世に誕生した二人――チャールズ・チャップリンとアドルフ・ヒトラー――の息詰まる闘いを、映画『独裁者』を中心に据えて描いている。

「チャップリンはユダヤ人ではない。しかし、みずから積極的にそのことを発言することはなかった。『ユダヤ人かどうかについて答えることは反ユダヤの術中にはまる』というのが彼の持論だった。同時に、ユダヤ人かどうか問われたときのチャップリンの答えは、極めて洗練されている。『私はユダヤ人じゃないよ。でも私の中のどこかにユダヤ人の血が混じっているんじゃないか、とこれは希望なんだが、そう思いたいね』」。

チャップリンは、なぜ『独裁者』を製作しようと思ったのだろうか。「『戦争の気配がふたたびただよいだした。ナチスが隆々と伸びていた。それにしても、第一次大戦とあの死の苦しみの4年間を、なんと早く忘れたものか』――チャップリンは、『独裁者』を製作する前の世相をこんな風に回想している。人々は過去の戦争を美化し、流行歌は第一次大戦中に兵士たちが『花のパリ』を見たことを面白おかしく歌い、戦争が『産業を発展させ、技術を進歩させ、人々に新しい仕事を与える』と利点を説くものもいた。『株式市場で何百万ドルがもうかるときに、誰が何百万という死者のことなど考えていられるか』というわけだった。チャップリンはそんな風潮に危機感を覚えていた」。

「まずもって、『独裁者』の構想は、『チャップリンとヒトラーの容貌が似ている』という事実――世界でもっとも愛されている喜劇俳優と、もっとも憎まれている独裁者とが瓜二つであるという、歴史的な皮肉がすでに含まれている事実から出発している。ヒトラーのパロディを演じることで、『ナポレオン』で試みた独裁政治の風刺と平和へのメッセージをより具体的に発することができる。もう一つ、チャップリンが『独裁者』を製作する決め手の一つとなったのは、『チャーリーのキャラクターをどうするか』という大問題の解決が見えたからでもある。・・・『独裁者』は、希代のキャラクター『チャーリー』を、トーキーという新時代に順応させる理想的なアイディアだったのだ」。

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