国語授業のユニバーサルデザイン―全員が楽しく「わかる・できる」国語授業づくり (授業のUD Books) の感想

　発達障害がクローズアップされる中，いろいろな本が出版
されている。
　個別の配慮はよく紹介されてあり，環境を整えることや
個に対する配慮や支援をするとう点では十分参考になる。
しかし，それだけでは根本的な解決にならず，それらを慮
配しながら通常学級の中で個別な支援に頼らない授業を成
立させるためにはどうしたらいいだろうかという，世の中
のニーズに答えている本である。

　学級の中できちんと授業に参加できる，授業の質や手立て
が必要とされているのではないだろうか。
　教師がしっかりと教材研究をし，手立てを工夫することで，
驚くほど子どもは授業に参加できる確率は上がってくる。
　そこに，特別支援の視点を取り入れることにより，細かな
工夫の裏付けがなされ，それでもうまく乗れないときに個別
の配慮が必要となってくるのである。
　そのためにも，発達障害のこどもの状況や背景などをしっ
かりと知ることは大切なことだと考える。

　その点，この本には国語はイメージ先行ではなく「論理」
を見つけるための手立てがしっかりと書かれており，一つの
単元で学んだことが，他の単元でも活かせることが大切だと
書かれている。
　きちんと教材を味わうための物差しをしっかりと子どもに
見つけさせたり，与えたりすることによって，子ども自身が
自立していくのである。
　国語の基礎はもちろんのこと，物語文や説明文などの取り
組みも盛り込まれており，是非，１冊はもっておいて欲しい
本である。

　この本を読んでチャレンジして，子どもが少しでも変わっ
たら，関連本を手に取り自分のクラスにあった方法をみつけ
て欲しい。
　全国で頑張っている教師はたくさんいると思うが，その努
力が効果的なものになるために，参考になる本である。

　５年後には，スタンダードな考え方になる出発点の本で
あると確信している。