The Red House Mystery の感想
参照データ
タイトル | The Red House Mystery |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | A. A. Milne |
販売元 | Createspace Independent Publishing Platform |
JANコード | 9781522882459 |
カテゴリ | Subjects » Mystery & Thrillers » Mystery » Anthologies |
購入者の感想
「熊のプーさん」の作者が残した唯一のミステリー小説にして古典的傑作。「古典」というのはその後に書かれたミステリーの多くがこの「赤い館」の設定を踏襲しているからだ。牧歌的な田舎町のお屋敷にふって湧いたような惨劇。殺されたのはその当主。居あわせた友人、執事、メイド・・・皆が無実のようであり、また皆が怪しい。暴かれる死者の過去と私生活。どうです、目に浮かぶような設定でしょう。ミルンは自身が探偵小説の愛読者であり、読者が何を求めてミステリーを読むのかをよく承知しています。探偵小説を読む者は自分も探偵になって犯人を捜し求めるのです。そして読者にとって重要なのは誰が犯人かではなく、犯人を絞り込んでゆくその過程。作者が作中の素人探偵ギリンガムと相棒ビルをきめ細かく造形している事からみると続編を考えていたと思われる。結局ミルンがこれ一作しか探偵小説を書かなかったのは残念(それについては序文に面白い釈明がある)だが、「赤い館」が再読に耐える傑作に仕上がったことがせめてもの救いだろう。秋の夜長にじっくり読みたい作品。