いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―有効需要とイノベーションの経済学 の感想

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タイトルいまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―有効需要とイノベーションの経済学
発売日販売日未定
製作者吉川 洋
販売元ダイヤモンド社
JANコード9784478008263
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

ケインズとシュンペーター。正直全く接点が見当たらなかった経済学者である。
実は同じ年にこの世に生を受けた同級生ということらしい。
しかし、互いに意識しながら徹頭徹尾理解し合おうともしなかった二人のようだ。

本書では、2人の生立ちから始まり、有名な本の解説や与えた影響について述べるため、経済学初心者への敷居は低いと思える。伝記のような形で読み始められる。
「穴掘って埋めるだけでもいい」と揶揄されるケインジアンと会って、自分だけがケインジアンでは無かったと語ったというケインズのエピソードもある。有名なだけに大分誤解もされているようだが、本書ではケインズはあくまでも「wise spending」と言ったのだと強調している。
ケインズはあくまでも英国の立場で英国の経済に対しての処方箋を書きつつ、理論を構築しようとしていたのだろう。だが、その理論はあまりにも有名になり、戦後日本の高度成長の基本理論として受け継がれたこと、そしてリーマンショック後に世界中がケインジアンになったことが改めて著者によって強調される。(財源に悩む振りをする財務省に仕切られる日本だけが逆の道かもしれないが)

一方シュンペーターはミクロ的なイノベーションが資本主義の本質であると主張する。よって、熱意に欠けるサラリーマン経営者ばかりになっては資本主義の未来は暗いと思っていたようである。
新たな需要を喚起し、生産効率を飛躍的に高めるイノベーションにより経済が循環する。その意欲は、サラリーマン経営者が持ち得るとは思っていなかったようである。
だが、そんなことは無いし、人口減に悩む先進国こそシュンペーターによるイノベーションが有効だろうと思う。

マクロ的な観点で大英帝国の没落を防ぎたいと思っていたケインズ。
ミクロ的な観点でイノベーションが資本主義の本質で、ために過剰となった生産力調整で不況が訪れるとしたシュンペーター。
しかし、両者も恐慌には政府による介入が必要であるとした点では一致していたようである。
不況脱出とその後の新しい社会について考えるのに、ちょうど良いテキストと思える。

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