かわいい自分には旅をさせよ (文春文庫) の感想
参照データ
タイトル | かわいい自分には旅をさせよ (文春文庫) |
発売日 | 2015-07-10 |
製作者 | 浅田 次郎 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167904104 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者 |
購入者の感想
読み飽きないエッセイでした。小説同様、読者を楽しませてくれました。
巻末に書かれていますが「本書は単行本未収録の随筆、小説を中心に編集されたものです。収録にあたり加筆訂正を行い、改題したものもあります。」と書かれていました。
収録の執筆時期は10数年の幅がありますが、決して落ち穂拾い的な作品集ではなく、質の高さは維持されていました。特に、直木賞受賞前後のエッセイは圧巻ともいえる凄みが伝わってきます。痛快なエンターテイメント溢れる珠玉の文が並んでおり作者の腕の冴えが感じられました。
小説家でエッセイの上手い人は少なく、フィクションの小説とは違い、日常の一こまを紡ぎだすエッセイを苦手とする作家が多い中で、浅田次郎は巧みな随筆家でもあると思っています。
例えば43ページの「パリからのラブ・レター」では、短編「ピエタ」について触れてあります。浅田次郎自身の思いが小説の中に如実に込められていたわけで、ファンとしてはこのようなネタバレもまた好ましく感じています。それにしても名文ですね。何度読み返しても感心するようなエッセイの魅力が感じられる一文でした。直木賞作家ですし、日本ペンクラブの会長の浅田次郎ですから、巧いのは当たり前なのですが。
60ページの「『蒼穹の昴』を旅する」も小説の裏話的な面白さが詰まっていました。少し長めの作品でしたが、ここでもエッセイとしての構成が巧みでした。読者を飽きさせないという工夫も盛り込んでありますので、期待通りの仕上がりになっています。案外このようなエッセイは読者の息抜きだけでなく、筆者自身の小説執筆の気分転換になっているのかもしれません。
「李鴻章 わが20世紀人」も同様の流れに位置するエッセイでしょう。1997年11月8日に読売新聞に掲載された作品でしたが、短い文の中に教養と強い思いが感じられる1文でした。
巻末に書かれていますが「本書は単行本未収録の随筆、小説を中心に編集されたものです。収録にあたり加筆訂正を行い、改題したものもあります。」と書かれていました。
収録の執筆時期は10数年の幅がありますが、決して落ち穂拾い的な作品集ではなく、質の高さは維持されていました。特に、直木賞受賞前後のエッセイは圧巻ともいえる凄みが伝わってきます。痛快なエンターテイメント溢れる珠玉の文が並んでおり作者の腕の冴えが感じられました。
小説家でエッセイの上手い人は少なく、フィクションの小説とは違い、日常の一こまを紡ぎだすエッセイを苦手とする作家が多い中で、浅田次郎は巧みな随筆家でもあると思っています。
例えば43ページの「パリからのラブ・レター」では、短編「ピエタ」について触れてあります。浅田次郎自身の思いが小説の中に如実に込められていたわけで、ファンとしてはこのようなネタバレもまた好ましく感じています。それにしても名文ですね。何度読み返しても感心するようなエッセイの魅力が感じられる一文でした。直木賞作家ですし、日本ペンクラブの会長の浅田次郎ですから、巧いのは当たり前なのですが。
60ページの「『蒼穹の昴』を旅する」も小説の裏話的な面白さが詰まっていました。少し長めの作品でしたが、ここでもエッセイとしての構成が巧みでした。読者を飽きさせないという工夫も盛り込んでありますので、期待通りの仕上がりになっています。案外このようなエッセイは読者の息抜きだけでなく、筆者自身の小説執筆の気分転換になっているのかもしれません。
「李鴻章 わが20世紀人」も同様の流れに位置するエッセイでしょう。1997年11月8日に読売新聞に掲載された作品でしたが、短い文の中に教養と強い思いが感じられる1文でした。