藤代冥砂 SKETCHES OF TOKYO の感想

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「ライドライドライド」から「もう、家へ帰ろう」への変化を、大竹昭子さんは、蛹から蝶になるようなと例えていたが、この作品はその蝶がさらに自由に舞っているかのよう。東京の空を舞っているのかと思えば、実は東京の果てを舞っているかのようでもいて。藤代冥砂という写真家は、不思議な場所にいつもいるような気がする。誰もがいるような場所だけど、実は誰もがいない場所にいるように思える。
帯にあるように、美しくて切なくて破れそう、ななんともいえない甘くて悲しい感じが全編を覆っている。これまでの日本のヌード写真集にはない悲しみが素晴らしい。そして、透明感。いい小説を読んだあとのような、長い余韻がある。あとがきの文章がまたいい。