ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (下) の感想

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参照データ

タイトルミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (下)
発売日販売日未定
製作者ダヴィド ラーゲルクランツ
販売元早川書房
JANコード9784152095855
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

上巻とは打って変わって、オリジナルの骨法が見事に踏襲され、様々な場面がどんどん入れ替わって物語の展開が疾走感をいや増すとともに、リスベットの本領が発揮され(いや、爆発して)、悪漢たちを叩きのめす一巻。(特に、325~8頁の形勢逆転の掛け合いには笑った。)前三部ほどのおどろおどろしさ(?)は無かったとは思いますが、リスベットにまた逢えた、と感じ得た下巻でした。静謐なエンディングもなかなか良かったかと。(思えば、本作ではミカエルとリスベットが直接に邂逅するのは、このシーンのみだったのですね。)

「リスベットはパソコンを通じて、やっと真の友人を得ることができたわけだ。それに何より、生まれて初めて、自分は自由だ、と感じた。まるでワスプのごとく、自由にサイバー空間を飛びまわることができた。何にも縛られずに」(177~8頁)
「ロシアという国は実のところ、国旗を掲げたガソリンスタンドのようなものでしかありません」(198頁)。
「情報を漏らすのは、何か目的があるからだ。正義感にかられて、腐敗や不正を明らかにしたがっている、という高尚なケースも当然ある。が、ほとんどのケースでは権力闘争が絡んでいる-敵を貶め、自分の株を上げようという魂胆だ。したがって記者たるもの、なぜこの人は自分にこの話をするのか、という疑問をけっして忘れてはならない」(263頁)。
「リスベットはあとになってから、このとき自分は妹も撃てたのではないか、と自問した」(314頁)。

尤も、評者が一番残念であったのは、本作により第5部以降の展開あるいは新『ミレニアム』の物語構造そのもの、即ち「ワスプ」と「サノス」の対決軸(詳細は169~173頁参照)というのが見えてしまったことです。新たな趣向などによりこの辺が巧く処理されないと、第5部以降は凡庸な作品となるおそれが大であるように感じますね。(例えば、アウグストの成長譚を絡ませるとか。)なお、第5部の原作は、2017年に刊行予定とのことです。

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