世界はこのままイスラーム化するのか (幻冬舎新書) の感想
参照データ
タイトル | 世界はこのままイスラーム化するのか (幻冬舎新書) |
発売日 | 2015-10-14 |
製作者 | 中田考 |
販売元 | 幻冬舎 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門 |
購入者の感想
本書はどちらかと言えばイスラムの常識と近代社会の常識の違いに焦点を当て、近代社会に帰属するであろう殆どの読者の「先入観」に焦点を当てているので、寧ろ「近代社会とは何か」という問題をイスラムという他者に照らした対談という印象を受けます。フーコーなんかの読者にはとても分かり易い指摘も有ります。そしてそこから、イスラムについての基本的な前提についての理解へ「導入」していくという体裁に成っていると思います。
そこから得られるのは、やはり西欧社会とイスラムの融合という発想は相当無理筋だという印象です。近代国民国家を単位とする近代社会を根本に於いて認めていない事の象徴がカリフ制の問題でも有るのです。エジプトで生まれたイスラム主義が国際共産主義の影響があったというのも頷ける点です。そうなってくると、イスラムとは近代社会にとって「オルタナティヴ」としてのパワーを持つのか、そしてその魅力とはという事に成りますが、本書に於いてはタイトルの問いかけだけと成っています。
イスラム国とオウム真理教という「アブナイ存在」と縁がある学者の対談で、特に過激な内容では有りませんが、勿論毎度マスコミが繰り返す、「愛と平和、寛容の精神」は単なる「ヒューマニズム」であり、神仏への帰依を第一とする宗教の本質とは「全く関係ない」という大前提はあると思います。また、島田氏が日本に於ける「一神教的存在」の問題に触れている部分も「慧眼」です。
本書には触れられていませんが、晩年コーランを全訳した大川周明や日蓮主義の北一輝というのも、近代国家を相対化する「グローバリズム」の側面があったのは確かで、挫折した近代の超克の問題が再びめぐって来ているとも思いました。
そこから得られるのは、やはり西欧社会とイスラムの融合という発想は相当無理筋だという印象です。近代国民国家を単位とする近代社会を根本に於いて認めていない事の象徴がカリフ制の問題でも有るのです。エジプトで生まれたイスラム主義が国際共産主義の影響があったというのも頷ける点です。そうなってくると、イスラムとは近代社会にとって「オルタナティヴ」としてのパワーを持つのか、そしてその魅力とはという事に成りますが、本書に於いてはタイトルの問いかけだけと成っています。
イスラム国とオウム真理教という「アブナイ存在」と縁がある学者の対談で、特に過激な内容では有りませんが、勿論毎度マスコミが繰り返す、「愛と平和、寛容の精神」は単なる「ヒューマニズム」であり、神仏への帰依を第一とする宗教の本質とは「全く関係ない」という大前提はあると思います。また、島田氏が日本に於ける「一神教的存在」の問題に触れている部分も「慧眼」です。
本書には触れられていませんが、晩年コーランを全訳した大川周明や日蓮主義の北一輝というのも、近代国家を相対化する「グローバリズム」の側面があったのは確かで、挫折した近代の超克の問題が再びめぐって来ているとも思いました。