都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画 の感想

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参照データ

タイトル都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画
発売日販売日未定
製作者饗庭 伸
販売元花伝社
JANコード9784763407627
カテゴリ »  » ジャンル別 » 社会・政治

購入者の感想

この本は著者が03年頃から人口減少時代の都市の変化を意識し始め、10年に渡り研究してきた中で、あえて持論を展開するのではなく、これまでの他の研究者の多くの研究成果をまとめたものとなっている。
都市を「たたむ」という表現や「スポンジ化」、「レイヤーモデル」というキーワードも著者が発案したものではない。しかし、それを総合化して随所に具体的な例として著者自身の関わった調査やまちづくり活動での実践と当事者の声を紹介することで説明は非常にリアリティがあり、わかりやすく説得力のあるものとなっている。
明るい未来としてエコでスマートなコンパクトシティの提案がよくあるが、すでにある都市の再編成にコンパクトシティは適用できない。最終的にはコンパクトシティに行きつくとしてもその過程の中でスポンジ化の構造を活かした都市空間をつくっていかなくてはならないのだ。そしてその考えは究極的には貨幣という効率化を追求したツールを使わない「非営利経済社会」として実現される。
「土着的な信仰がつくり出してきた制度や空間に行きつく、~私たちの内側に潜む、私たちが共同で持っている意識」に基づいた方法こそが「「たたまれた空間」を支える都市計画なのである。」

これまで都市計画というと「人間味のある近代以前の街並み」と「画一化された近代理論で計画された街並み」が比較されることが多かったが、著者は高度経済成長以後に生まれ、自身の育った環境のなかにすでに画一化された街並みが身近にあったため、その二つで区切ることに違和感を感じると言う。見た目が違っても著者にとってはどちらも人が集まって住むという時点で計画されたものなのだ。
また著者は人口減少社会を過度に恐れる必要はなく、コントロール可能だとして、ポジティブな未来像を描く。ポジティブなのかネガティブなのかは結局考え方次第。そう考えられるのは著者の身近な環境がとても明るいからだそうだ。
そういった著者によってまとめられたこの本は非常に面白く、私は日本の都市論の大きなパラダイム転換を感じたのです。

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花伝社から発売された饗庭 伸の都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画(JAN:9784763407627)の感想と評価
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