愛のようだ の感想

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参照データ

タイトル愛のようだ
発売日販売日未定
製作者長嶋 有
販売元リトル・モア
JANコード9784898154243
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者

購入者の感想

 長嶋有の書きおろし最新作。作者はケレン味のない、日常の細々とした、誰も書かないほど些細な、でも言われてみると共感できる、という風景とか会話とか心理とかを描かせれば現代でナンバーワンの作家なのだが、近年はその傾向にさらに磨きがかかって、ねたあとに (朝日文庫)では(オリジナルのアナログ)ゲーム、問いのない答えではTwitter、そしてこの『愛のようだ』では、「ドライブ(中にかかる曲)」という、いずれも小説、特に純文学の領域ではほとんど触れられることのなかった題材(にまつわる人々)を描くという「ニッチ産業」である。ブンガクというのは、国家社会や、人間の生死、人生の意味などについて描くものだという考えの人にとっては、どうでもいいくだらないことしか書いてない小説に見えるだろう(いや、実はこの作品は、とっても「社会」や「生死」や「人生の意味」について書いてるのだけど)。肩の力が抜けている、という作風は、意外にも読む人間を選ぶのである。
 本作はほぼ全編通して車の中が舞台になる、つまりロードノベルなのだが、普通のロードノベルは「旅」を描くが、この作品は「車中」を描く。車中という空間に生まれる、ちょっとだけ特別な人間同士のコミュニティ、ちょっとだけいつもとは違うやり取り。普通の人にとっては、車の中というのは単なる移動時間、人生の無駄かもしれないが、この作家が書けば、それだけで一冊の小説になるわけだ。

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リトル・モアから発売された長嶋 有の愛のようだ(JAN:9784898154243)の感想と評価
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