ヴィンランド・サガ(17) (アフタヌーンコミックス) の感想

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参照データ

タイトルヴィンランド・サガ(17) (アフタヌーンコミックス)
発売日2016-01-22
製作者幸村誠
販売元講談社
JANコード登録されていません
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

今回のラスト、どういう風に持っていくのか興味深かったです。
ヒルドの過去、父や師の言葉、仲間たちの反応、トルフィン自身。
それらを織り交ぜた末の展開として、あのラストには納得しています。
中でもエイナルの言葉は響きました。でもそれだけでは弱かったので、
過去のエピソードがかなりの部分を占めたのも納得できました。

あのラストからはヒルドも一行に加わりそうで、今後の話の行方も楽しみです。

17巻はヒルドの巻になっており、今後のストーリーで大事なキャラクターになるであろう
丁寧にその人となりが描かれています。

おもしろい漫画なので、もっともっとと展開を急ぐ欲求に駆られてしまいますが
この漫画で扱っている哲学は「目には目を歯には歯の」復讐の連鎖を断ち切る哲学が貫かれており
これを幸村誠さんは一貫して描かれているので、ヒルドの人間臭さの描写と最後の部分は当然の成り行きに思いますし
16巻ラストで17巻のおおよその予想は読者は持たれたと思います
よって良い意味でも悪い意味でも裏切られた感は全くないので
そこを期待した方の評価は低くなってしまうと思います。

私は単純にヒルドの魅力的なキャラクター像に引き込まれました。
頭が良くて、ちょっとオタクっぽくもあり、一人になってからは強くなるために努力する姿
その原動力は「復讐」という怒りの負のパワーですが
彼女の本質を今後描かれていくことに期待してしまいます。

幸村誠作品の魅力は圧倒的な勉強量から滲み出る作品の奥深さです。
漫画が好きで、絵も上手くて漫画家になった方は沢山いらっしゃいますが
この方の知識のバックボーンは尋常では無いように思います。
ヒルドのセリフで「なんて強い脚・・・・・!」とありますが、実感がこもっていて
このシーンのために雪山に出向いて実際歩かれたのかどうか知る由もありませんが
ともあれ、ストーリーの大枠からそれほど重要な描写でないところでも誠実さが感じられます。
かといって何でもかんでも、神経質にリアルを追及している訳ではなく
ものすごいスピード感での痛みを感じる殺戮シーンから一転
気の抜けたヴァイキング同士の現代的な冗談交じりのユーモラスなやり取りにホッとさせられ
そこに作者の柔軟さを感じ、読者をあまり暗い気持ちさせない心使いにありがたく思っています。

台詞で語られている部分が本当にその人物の100%の思いなのか…。
言葉だけでは表現できない、人の複雑な感情を描くのが幸村さんの真骨頂だと思います。
作品違いますけど、プラネテスのときからそうだったように思います。序盤のハチマキの心理描写など特に。
今回は表紙の通り、狩人ヒルドの心情に焦点が当てられた巻です。

この巻の終盤の流れ…賛否がわかれるかもしれません。
でも、ヒルドの発言(「赤ン坊を泣き止ませろ!」)などからも
彼女にも迷いがあるのだと知れる気がします。

あと
これは推測でしかないんですけど、
ヒルドは回想シーンの場面で熊を仕留めたときすでに
怒りに任せて行動した後の味気なさと虚しさを少なからず感じていたんじゃないでしょうか。
復讐を果たしてもなお消えることのない怒りと悲しみはどこまで続くのか……
トルフィンに牙をむくヒルドは、その雁字搦めの状態にいらだっているようにも見えます。
「私の怒りはどこへ行けばいい!」というヒルドの言葉には、
仇を討って復讐を果たしたいという想い以上の意味がある気がします。

アシェラッドを憎んでいたトルフィンが
今 憎まれる立場になり、この先どんな旅を続けるのか…
次巻が待ち遠しいです。

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