ヨーロッパ文化と日本文化 (岩波文庫) の感想
参照データ
タイトル | ヨーロッパ文化と日本文化 (岩波文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ルイス フロイス |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784003345917 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般 |
購入者の感想
ルイス・フロイスといえば、しばしば戦国時代の研究などで用いられる『日本史』の執筆者で、イエズス会の修道士。織田信長とも深い関わりを持ったポルトガル人です。彼がこのような本を書いていたとは知りませんでした。彼の観察眼の鋭さ、洞察力、具体的記述、日本に対する深い知識には驚きます。実に微に入り細にわたって日本人の生態、風俗を観察しています。今の日本人とそう変わらない点や、逆に今では信じられないような点など、現代日本人と比較して読むと面白いです。ただ、西洋との違いを強調するあまりに、過剰にその差異を誇張している点が多く見られる点があります。西洋との違いをtopsy-turvydom(逆さま、あべこべ)という主題に拘泥して無理矢理繋げて説明しようとしているので、実態にそぐわないところも多々あります。しかし、西洋人の偏見から見た単なる珍奇な日本人評では決してなく、序文でフロイスが述べているように、日本人の文化と知性を評価し尊重した上で、西洋人との差異を、両者の相互の混乱を避けるために、日本理解への一助となるために書かれたもので、それは我々現代人にとっても中世日本人の理解に極めて有用で、示唆に富んでいます。また豊富な訳注と図版は非常に有り難かった。