Bass Culture: When Reggae Was King の感想

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参照データ

タイトルBass Culture: When Reggae Was King
発売日販売日未定
製作者Lloyd Bradley
販売元Viking
JANコード9780670855636
カテゴリArts & Photography » Music » Musical Genres » Reggae

購入者の感想

1940年代から1998年頃までのジャマイカ音楽の歴史物語。
物語といっても、もちろんノン・フィクションで、関係者へのインタヴューと筆者の分析あるいは史実が半々ぐらいの割合になっている。ジャマイカ音楽本として有名なのは他にスティーヴ・バロウの「レゲエ・ラフ・ガイド」があるが、バロウのそれがガイドに徹していて資料として素晴らしい一方で、本書は読み物として非常に面白い。
インタヴュー部分が生き生きしているのは当然だが、筆者がストーリー・テラーとして一流である。これを面白がって読んでいるうちにジャマイカ音楽の歴史や基本知識が身に付いてしまう。また音楽に関する記述はもちろんだが、社会・経済に関する記述が奥深く、音楽だけでなくジャマイカの歴史全体についても理解できるようになっている。特に宗主国イギリスと植民地ジャマイカの関わりや、イギリスでのジャマイカ移民についても十分なページが割かれていて、移民史としても一読に値する。またアメリカへ移住したジャマイカ人とイギリスに移住したジャマイカ人の比較も簡潔だが的確だ。ラスタファリの歴史については更に詳しい研究書が出ているため、そちらを読んだほうが確実かもしれないが、音楽との関わりの中でラスタファリの歴史を紐解くならば本書も使える。本書は「ジャマイカ現代史」の代わりになる本だといっても過言ではない。
残念なのはレコードのリリース年に若干の間違いや数箇所の決定的な事実誤認があること。加えて86年以降のダンスホール・レゲエの発展について否定的で、ページも割かれていない点が挙げられる。更に言えば、取材源が限られているのも難点。数は少なくはないが、偏りは否めない。特に80年代後半以降のアーティストや中心人物のインタヴューが少なすぎ。しかし、80年代後半以降のジャマイカの音楽シーンについては、英国人の筆者よりも、当のジャマイカ人よりも誰よりも日本人愛好家が詳しく、この本の最終章を読まなくても知っていることが多いのだから、これはこれでいいと思う。
英語の読み物としては単語(特に形容詞)も構文も難易度が高く、上級者向き。

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Vikingから発売されたLloyd BradleyのBass Culture: When Reggae Was King(JAN:9780670855636)の感想と評価
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