イスラーム国 の感想

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「ロシア政治経済ジャーナル」というメルマガの著者が紹介していたので、購入しました。
この本の著者がアラブ人で且つパレスチナのガザ出身というのにも興味を持ちました。
（日本人の中東専門家の著書ではない）
イスラーム国については、その残虐性ばかり強調されますが、そういった興味本位の本とは明らかに一線を画しています。
イスラーム国だけでなく、イスラーム教の歴史、宗派対立、イラク、シリアの歴史と今の内情、イスラーム国の指導者の生い立ちとその思想、アルカイダとの関係とその歴史、ウサマ・ビンラディンなど主要人物の思想経緯など極めて緻密に客観的に且つ俯瞰的に書かれています。
この本で現在の混みいった中東情勢が読み解くことができます。西欧ではタブーとされているサウジアラビアの建国の
成り立ちからイスラーム国と同じワッハーブ主義をなぜ隠しているのか、アメリカとの癒着の内情まで深く書かれています。
しかし、この本を読解するにあたっては、学校の世界史の教科書レベルの知識ではダメで、欧米列強の中東の収奪の歴史を
かなり理解していないと難しいかもしれません。逆に知識をお持ちの方は一層理解が深まると思います。
著者の中東における人的ネットワークが広く深いのでかなり信憑性のある情報をもとに書かれています。
（ウサマ・ビンラディン等、主要な人物と直接インタビュー、取材しているのも信憑性を高めています）
今の中東情勢を理解するには、最上の良書だと思います。