ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) の感想

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参照データ

タイトルファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
発売日販売日未定
製作者ダニエル・カーネマン
販売元早川書房
JANコード9784150504113
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

行動経済学における貢献によって2002年ノーベル経済学賞受賞で有名になった、心理学者のカーネマン教授が一般向けに初めて書いた本。こちらは下巻。以下のような解説をしている。

・計画の錯誤:プロジェクトの成り行きを過度に楽観的に見積もる。楽観バイアスのひとつ。
・楽観バイアス:立てた目標を実際以上に達成可能だと考える。個人や組織が進んで大きなリスクをとるときに関与する。行動を起こすときには好ましい面もある。
・認知バイアスと自信過剰:上巻参照。企業家の楽観主義を支える。
・損失回避性:損失に対する感応度は、同じ額の利得に対する感応度よりも大きい。
・ベルヌーイの理論(期待効用理論):リスク回避性を説明。ギャンブルの心理的価値は、起こりうる金銭的結果の加重平均ではなく、起こりうる結果の効用の加重平均。
・プロスペクト理論:ベルヌーイの理論に参照点と損失回避を加える。損失は同等の利得より強く感じられる。悪い選択肢しかない時、人はリスク追求的になる。
・後悔理論:プロスペクト理論に後悔や失望を加える。
・保有効果:持っているものを手放す苦痛は同じものを手に入れる喜びを上回るので価値も高くなる。
・現状維持願望:損失回避の指向が強いため、組織や人が参照点近くにとどまる。
・決定加重と確率の乖離:可能性がゼロに等しいチャンスが過大評価される。
・四分割パターン:プロスペクト理論に基づき、損失と利得、高い確率と低い確率の4つの組み合わせで表現する選好パターン。
・フレーミングとリスク:狭いフレーミングより広いフレーミングの方がよい決定につながる。損失回避と狭いフレーミングが重なると高くつく。
・気質効果:黒字にしたくて、確実な損と不利なギャンブルの選択で生じる。
・デフォルトの選択と後悔:既定路線から外れたことをして失敗すると後悔が容易になるため、ひどく苦痛を感じる。
・選好の逆転:2つのシナリヲを単独で見たときと、並列して見たときで評価が変わる。
・感情フレーミング:問題提示の仕方が考えや選好に不合理な影響を及ぼす。

必ずしも最新の理論を必要としない、一般のビジネスパーソンにとっても、興味深く(また知っていれば他人にちょっといばれる)様々な考え方が書かれています。平易な記述で、わかりやすく翻訳されています。

2011年に池田信夫さんが自著やブログで盛んに取り上げていました。やっと翻訳が発刊されました。2システムについても、そちら(池田さん)により易しく解説されています。

本来は上下がひとつになり1冊で刊行すべき本です。下巻の内容も重要であり、かつ、上巻下巻の重複がなくほぼ独立しており、両方買わざるを得ません。

一般に原書と翻訳の価格差が縮まっている中、当書は原書が1200円、翻訳は上下で4410円します。ちょっと高すぎです。原書も平易な英文でかかれているので、e-bookで試すにちょうどいいかもしれません。

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