公立中高一貫校 わかる! 適性検査45題 詳細解説 (朝日小学生新聞の学習シリーズ) の感想

　小学生新聞に連載された公立中高一貫校対策講座を書籍にしたものだ。執筆は大原予備校の講師陣。
　公立中高一貫校の適正検査には、教師や親もどのようなスタンスでどこまで答えたらよいのか、わからないものも多い。そういう問題について、市販の問題集や過去問集を参照すると、本によって解答が全く異なっていることが少なくない。この本の良いところは、適性検査の作問意図をきちんと踏まえた上で、解答に至る道筋をわかりやすく解説している点だとおもう。

　塾や予備校だけで解答・解説をつくると、とかく独りよがりのものになりがちだが、この本は一度小学生新聞に掲載される過程で新聞編集者のチェックを受けているためか、文章と文章の間の論理の飛躍が比較的少なく、非常に読みやすくなっている。

　しかも、小学生新聞のホームページでこの本をテキストにしたビデオ講義（６時間）が無料でみられる仕組みになっている。１０万円近くする中高一貫校対策のインターネット講義あることを考えると、これは非常にお得だと思う。

　もちろん、公立中高一貫校はこの本一冊をやれば合格というようなものではない。しかし、普段の学校の勉強をきちんとやって基礎力をつけ、新聞記事などで要約の勉強をしながらこの問題集に取り組めば、相当力がつくはずだ。後は志望校の過去問を５年分やれば、ほかにやることはそんなに残っていないのではないか。

　ただ、掲載問題が首都圏にかたよっていること、ビデオ講義の教師の中にごく少数であるがレベル以下の者が存在すること（大原予備校がどうしてこのような講師に講義させるのか理解に苦しむ）、を考慮してマイナス１点とする。