南の島に雪が降る (旺文社文庫) の感想

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参照データ

タイトル南の島に雪が降る (旺文社文庫)
発売日販売日未定
製作者加東 大介
販売元旺文社
JANコード9784010642405
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

 俳優故加東大介氏の自筆体験記。待望の復刊だそうだ。私は讀賣新聞のコラムでこの著の存在を知った。ただ、子供の頃、この話は聞いた記憶がある。加東大介氏といえば、黒澤明監督の「七人の侍」で若い人も知っている人多いと思う。女優故沢村貞子さんの実弟でもある。また、長門裕之、津川雅彦、加藤勢津子三兄弟の叔父さんでもある。
 西ニューギニアにおける戦争という非日常の中で、日本兵は敵の銃との戦いでなくマラリアと飢えとの戦いで、死んでゆく。彼らの日常は、飢えを凌ぎ、病と闘い、ただただ生き延びる事だけであった。彼らは、「百年戦争」を戦っていると考えていた。いつ終わるともない戦地生活。いずれ皆死んでいくに決まっていると誰もが思っていた。
 そんな中で、著者たちが中心になって毎日毎日芝居をやることになった。この芝居が兵士たちにとって、生きるためのカレンダーとなり、全支隊の呼吸のペースメーカーとなったという。各部隊が、順番に観劇するのである。普通だったらすぐ死んでしまう兵隊が、ひと目芝居を観てからと、生き延び、観劇後、すぐに昇天した例もあったという。
 有名な雪のシーンは感動的である。泣けた。望郷の念にかられた兵士達の涙が、本当にリアルに感じた。
 多くの兵が死んだが、この芝居を観て生き延びた7000人が戦後日本に復員した。著者も戦後全国で彼らとの感動の出会いがあった。このような人々が、戦友の死という十字架を背負い、懸命に働き戦後日本の復興を成し遂げた。昭和は遠くになりにけり。亡き父の面影も追いながら、供養の気持ちで読んだ。やさしい文章で、偽りがない。家族でこの夏、読むのもよいだろう。

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