パラドックス大全 の感想
参照データ
タイトル | パラドックス大全 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ウィリアム・パウンドストーン |
販売元 | 青土社 |
JANコード | 9784791761432 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 論理学・現象学 |
購入者の感想
パラドックスというと、すぐに思い浮かぶのは「アキレスと亀」などで知られるゼノンの逆説や、「全てのクレタ人は嘘つきである」というエウブリデスの論理などである。本書ではそれらの論理学的に有名なものに加え、無限や心、暗号理論、全知であることによる矛盾など、非常に多岐にわたる内容で構成されていて、論理学の説明に終始した本とは違い、気楽に読めてなおかつ興味深い例が満載である。
特に解説が詳しいのは、コンピュータで有限時間内に解くことができるか否かなどの議論で一躍有名になったNP完全問題について。迷路課題を例に取り、なぜNP完全問題の一般解を導出するのは難しいのか、そして解決の暁にはどんなことが可能になるのかなどを興味深く語っている。訳も非常に上手く、流れるように読み進められるのも良い。
扱っているテーマや例証など、その内容はどれも面白く、この点ではまったく問題がない。しかし、特に本書後半ではその傾向が顕著なのだが、扱っている問題に対する反証の仕方が、論点がずれているものが多く、これは少々注意する必要がある(例えばトムソンのランプやサールの中国語の部屋に対する反論例)。また、後半の心の理論やゲーム理論(囚人のジレンマ)などは、原著執筆時(1988年)に比べて格段に進歩しているため、今では一応の回答が提示されている部分もあることを付記しておく。
特に解説が詳しいのは、コンピュータで有限時間内に解くことができるか否かなどの議論で一躍有名になったNP完全問題について。迷路課題を例に取り、なぜNP完全問題の一般解を導出するのは難しいのか、そして解決の暁にはどんなことが可能になるのかなどを興味深く語っている。訳も非常に上手く、流れるように読み進められるのも良い。
扱っているテーマや例証など、その内容はどれも面白く、この点ではまったく問題がない。しかし、特に本書後半ではその傾向が顕著なのだが、扱っている問題に対する反証の仕方が、論点がずれているものが多く、これは少々注意する必要がある(例えばトムソンのランプやサールの中国語の部屋に対する反論例)。また、後半の心の理論やゲーム理論(囚人のジレンマ)などは、原著執筆時(1988年)に比べて格段に進歩しているため、今では一応の回答が提示されている部分もあることを付記しておく。