ワン・モア (角川文庫) の感想
参照データ
タイトル | ワン・モア (角川文庫) |
発売日 | 2015-01-24 |
製作者 | 桜木 紫乃 |
販売元 | KADOKAWA/角川書店 |
JANコード | 9784041023846 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » さ行の著者 |
購入者の感想
連作短編形式の何とも言えない味わいの作品である。登場する淋しさを抱えた女性たちにより、人生の縮図を見せられるかのようだった。
最初の『十六夜』では、市民病院で安楽死事件を起こし、離島に飛ばされた女医の美和が島を去ると決意した後、不倫の果てに…逞しく、余りに残酷で、奔放な美和に驚かされた。この最初の短編を読んだ時、泥々した男女の愛憎劇かと思ったのだが、そんな単純な作品ではなかった。
『ワンダフル・ライフ』では美和の同級生の開業医の鈴音を主人公に、彼女に訪れた不幸と再生を描く。『おでん』では主人公は書店の店長と元アルバイト店員へと代わり、物語は細い線でつながるものの、美和と鈴音はどうしたんだと思う。
『ラッキー・カラー』でも鈴音の病院の看護師が主人公となり、『感傷主義』、最後の『ワン・モア』で物語が見事に帰結する。
最後の『ワン・モア』を読み、この作品は桜木紫乃による淋しさを抱えた人達へのエールなんだと納得。
最初の『十六夜』では、市民病院で安楽死事件を起こし、離島に飛ばされた女医の美和が島を去ると決意した後、不倫の果てに…逞しく、余りに残酷で、奔放な美和に驚かされた。この最初の短編を読んだ時、泥々した男女の愛憎劇かと思ったのだが、そんな単純な作品ではなかった。
『ワンダフル・ライフ』では美和の同級生の開業医の鈴音を主人公に、彼女に訪れた不幸と再生を描く。『おでん』では主人公は書店の店長と元アルバイト店員へと代わり、物語は細い線でつながるものの、美和と鈴音はどうしたんだと思う。
『ラッキー・カラー』でも鈴音の病院の看護師が主人公となり、『感傷主義』、最後の『ワン・モア』で物語が見事に帰結する。
最後の『ワン・モア』を読み、この作品は桜木紫乃による淋しさを抱えた人達へのエールなんだと納得。