学校の挑戦―学びの共同体を創る の感想

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著者が21世紀型の教育モデルとして提唱する「学びの共同体モデル」
が、全国各地の小中高で広がりを見せている。本書は、初期のパイロ
ット校となった茅ヶ崎市立浜之郷小学校や富士市立広見小学校などを
中心に、学びの共同体のエッセンスをまとめた前著『教師たちの挑戦』
の続編に当たる本で、書かれている内容はより具体的になり、学びの
共同体モデルの広がりやうねりや勢いが感じられるような本である。

本書は三部構成になっており、第一部では学びの共同体モデルのエッ
センスや理念、意義、ヴィジョン、世界での広がりなどがまとめられ
ている。続く第二部では、学びの共同体づくりに挑戦している学校の
事例をまとめている。報告されている学校は、全国各地の小中高など
全部で16校の事例であり、大きなうねりとともに、しかし静かに学校
改革が各地で進められていることを目の当たりにできる。最後の第三
部では、校内研修への提言として、同僚性を築くことなしに学校改革
は不可能であることを説きながら、授業観察のあり方、その後の交流
会のあり方などをまとめている。

前著『教師たちの挑戦』と比べると、著者の主張する学びの共同体モ
デルのあり方がさらに具体性を増したように感じる。これはつまり、
学びの共同体モデルの学校改革が著者の予想を上回る速度で急速に広
がっているという現実や、数多くの学びの共同体の授業実践の中から
浮かび上がってきた確たるヴィジョンの構築などを表しているようで
もある。

学びの共同体モデルの理念と実践がともに記述され、学びの共同体の
力強い広がりを感じることができる一冊である。このモデルを取り入
れている学校関係者、今後取り入れることを検討している方には特に
有意義な一冊となるだろう。

なお、本書の内容は、『総合教育技術』での連載した内容を中心に、
『日本教育新聞』への連載原稿、『教育と医学』『教育研究』に掲載
した論文を加えて一冊にまとめたものである。