「引き寄せ」の教科書: スッキリわかる!「思考が現実化する」しくみと方法 の感想

引き寄せや波動が現実を作っている、という本は長年たくさん読んできました。
なので、新しいことがわかると、あまり期待せずに読んだのですが。
まったくぶれない著者の姿勢に圧倒されました。

ぶれない、というのは、何かを盲信している、信じて疑わないというのではなく、著者自身が従来の本やメソッドをさんざん読んだり試したりして、腑に落ちなかったことや疑問なことに、ぜんぶ自分なりの答えを出して納得し、逃げない態度で読者に提示してくれていることです。

たとえばこれまで私自身あいまいだった、次のようなことです。

・願い事にフォーカスしてつねにそれを期待する（宝地図やアファーメーション、フェイクその他）のがよいのか、
いったん決めたらおまかせし、手放して忘れてしまうのがよいのか。それは同じことなのか違うことなのか。

・自分の観念や信条が先で、起こることはあとだというが、さきに嫌な体験をし、相手によくない印象を抱くようになったような場合、鶏が先か、卵が先か。

・すべては自分の思いが作り出しており、その人ヴァージョンの世界に住んでいるというが、絶対にだれもが共有すべき価値観は、ある程度あるのではないか（善悪の基準、カルマなど。）

　これらのことについて、著者も悩んだのちに、ひじょうにクリアな解答にいたりついたのが感じられます。
　その解答すらも「自分の考え」「自分がそう思う（とすごくスッキリする）だけ」だと突き放しており、説得しようという圧力はまったくありません。しかし、なるほど、と腑に落ちることが殆どでした。

　著者の基本スタンスは
「自分がどう思うか、どう望むかに立ち返ることで自分の世界を創造してゆく（他人をコントロールする、変えようとすることは全く無意味だし、してはいけない）」
「世界を創造（引き寄せる）するには、自分がスッキリして気分がいい状態が必要」「なになにがほしい、と外にものを願うのではなく、すでにそれを得て幸せに暮らしている自分を、意識の中に入れこむことで、実現してゆく（つねに自分と一体になる。自分だけが自分の世界を創造していると割り切る）」

今ではすっかり世に知られるようになった「引き寄せの法則」。
たくさんの本やサイトがありますが、それぞれの理解と表現は一長一短という印象です。

上から目線みたいで恐縮ですが、私が見た中で「引き寄せの本質を明確に理解していて」「かつその本質を簡易平明に表現できる」という点で双璧と思っているのが、山川あずさ氏とこの本の著者です。
このお二方の書くものは、文章が読みやすく意味も明確で実践的なうえに、本質的な部分を完全に捕まえているのが魅力ですね。

著者の奥平氏は世間的にはほぼ無名の方だと思います。スピ系の著者では彼女を足元にも寄せ付けないビッグネームはあまたいらっしゃいますし、内容面でも本書より深い書籍だって数えきれないほど出版されているでしょう。
ただ読後にすぐ生活に役立つという意味では、なかなかこの本を凌ぐものはないと思いますよ。

引き寄せは「思考が現実化する」という理解だけでは、実生活では使いにくいものです。
そういう捉え方が全く間違ってるというわけではないが（この本の表紙にもそう書いてますし）、そういう解釈で実際に引き寄せをするのは難しいよ、相当人を選ぶよ、といわざるを得ないです。まぁ出来る人は出来るんですが、誰でもとはとても言えない。
実際にやったことがある人なら頷いて下さるでしょう。

じゃあ、結局何なんだよ、と。どうすればいいんだよ、と。

奥平氏や山川氏は、そういう人たちに対する具体的な回答を提示している人たちだと思っています。
彼らの提案する引き寄せ手法は、簡単かつ明快です。引き寄せにおいて本質的で最重要なポイント（誤解されがちですが、それは決して「願望をイメージすること」ではありません）を腑に落ちるように説明してくれています。

後はその通りに日々を送れるかどうか、それだけでしょうね。
ポイントとなる概念自体は平易で、そうした世界観を受け入れさえすれば誰でもできる、そういうことしか書いてありません。

引き寄せについて興味がある人はもちろん、判っているつもりの（でも実際にうまく引き寄せできない）人には特におすすめです。