共同研究 パル判決書(下) (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル共同研究 パル判決書(下) (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
販売元講談社
JANコード9784061586246
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 国際法

購入者の感想

戦前戦中史について、従来の常識が覆されるのは確実。

日本がどのような歴史を辿ったのか、極めて詳しく書かれていて、「無罪論」とか日本の戦争責任がどうとかの、言ってみれば瑣末な議論に収まらない価値がある。当時の日本がどのような姿であったか。恐らく、今伝わっている戦前日本の姿とは、まったく違う姿があり、実は「軍国教育」とかを批判するのは、敗戦後の日本人自らが言い出したことだったんだな、とも思わされて(しかも、その問題点をパール氏に否定されてしまう。)なかなか情けなくも面白い。

文章も非常に読みやすいので、長文ではあるけど、目を通す価値は充分にあると思う。ただし、決して単語として読まず、長文をしっかりと読み切って欲しい。周囲の文脈を大事に。視点の多角性を養う意味でも、学校教育に使うべき本だろう。

なお、「パール判決書は反共」などという主張を、特定の議論を鵜呑みにして行う人がいるが、そのような内容は書かれていない。共産主義について、どう一般的に否定的見解を持たれていたかを示し、その後に親共的な意見も引用し、「かような感情が正当なものかどうかは、本官の論ずべきことではない。」とした上で、共産主義とその体制にある国と、どう世界と日本が相互作用したかを語るのみだ。徹底して恣意を排すパール判決書の態度をじっくり読んでほしい。

東京裁判は、戦争の勝敗という「力」の結果、敗者に対する「戦後処理」を達成したいがための、法の外貌をまとったような儀式に過ぎないのではないか。法は誰にでも平等でなければならない。真理を無視してはならない。それがパールの態度であろうと思う。

裁判官は、検察側と弁護人の双方の意見から判断を下す存在で「推定無罪」の概念を持たなければならない。しかし東京裁判のように裁判官が恣意的となれば、被告側がいくら努力しても無駄となる。その中でパール判事の姿勢は、極めて特筆すべきものである。

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