Thou Shalt Kill: Revolutionary Terrorism in Russia, 1894-1917 の感想

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タイトルThou Shalt Kill: Revolutionary Terrorism in Russia, 1894-1917
発売日販売日未定
製作者Anna Geifman
販売元Princeton Univ Pr
JANコード9780691087788
カテゴリSubjects » Professional & Technical » Law » Criminal Law

購入者の感想

一般人向けの本ではなく専門書です。註だけで100ページです。この散文の象徴とも言うべき無数の註によって語られるロシアの姿は、私たちがこの銀の時代に対して抱くイメージとは大きく異なるものです。ここではロシアバレーやアフマトーヴァのような詩人が活躍した芸術の時代の”陰画”が描かれます。それは驚くべきほどの暴力が横行する時代です。どうして私たちはこのような描写に驚くのでしょうか?それこそ、この著者が明らかにしたかった時代の実相なのかも知れません。それはロシアにおけるテロの持つ意味です。それは決して神話として美化されてきた、例外的状況での手段ではないのです。むしろロシアの政治風土の中に”常態”として位置づけられるものなのです。そしてこのテロは、社会革命党なる一グループの占有物ではなく、社会民主労働党から民族主義的なグループ、そしてカデットなどのリベラルグープまでもが、その建前は別として、決して放棄することなく、いつも機会主義的に是認したものであることが緻密に論証されます。英国での最近の事件もその延長線上に位置するのでしょう。そして、最後に帰結するのは、政治的手段としての暴力ではなく、暴力のための暴力というニヒリズムの横行です。そして政治的暴力と私的犯罪の区別の消滅です。もしかすると、このニヒリズムの芸術的な表現こそが、いわゆる銀の時代の表面的な美しさなのかもしれません。となると私たちが感じ取るロシアの芸術の美しさなるものも、しょせんは”美しき誤解”なのかもしれません。

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