決定版 日本のカモ識別図鑑: 日本産カモの全羽衣をイラストと写真で詳述 の感想

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例えばマガモの説明には 7p が割かれていて、オス、メス、年齢別に精緻なイラストで見分けの特徴を引出線つきで説明しています。
その後ろにはイラストで見た特徴が実際に写真だとどのように見えるのかを確認するためにオス、メス、年齢別の写真が掲載されているので、イラストで見た特徴が実際にフィールドだとどのように見えるのかのイメージが非常につかみやすい構成です。写真とイラストの図鑑のいいところを両方取り入れているといえます。

さらに普通の図鑑ならオスメス同色で済ませているところですが、この図鑑ならカルガモのオスメス、生殖羽か非生殖羽かまで見分けることができるようになります。

圧巻は雑種の説明ページ。カモ類はほかの鳥より交雑が多いので、複数の特徴が混じっていて判別が難しい種類が生じ得ますので、野外で見慣れない変な模様のカモを見かけたら、このページを開いて整然と左向きに並んだ雑種イラストから、さっとあたりをつけるのに重宝しそうです。

待望のカモ識別図鑑である。著者の氏原氏には、シギ・チドリの識別図鑑やカモメの識別図鑑があり、バードウォッチャーには絶大なる支持を得ている。今回のカモ図鑑はそれらを上回る決定版と言っていいと思う。
イラストを主体としつつ（識別にはイラストの方が向いている）、写真も豊富（やはり写真もあった方がいい）で、解説も詳しく、雑種についても詳細な記述がある。カモはバードウォッチング初心者にも入りやすい対象であると同時に、ベテランにとっては奥が深いものだということがよくわかる。
ただ、当図鑑は基本的にはベテラン／マニア向けである。もちろん初心者にも役に立つことは間違い無いが、対象がカモだけであるし、完全なる初心者が初めて手にする図鑑としては、少し内容が詳細すぎると思われる。初心者には購入前に書店（大型書店など）で一度手にとってみることをお勧めする。