若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来 の感想

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参照データ

タイトル若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来
発売日販売日未定
製作者ジャレド ダイアモンド
販売元草思社
JANコード9784794221759
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

 『銃・病原菌・鉄』(草思社)などのベストセラーで知られるジャレド・ダイアモンド。彼の処女作は『人間はどこまでチンパンジーか?』(新曜社)であるが、その内容をおよそ半分ほどに圧縮し、その後約20年で得られた知見をもとに若干の修正を加えたのが、本書『若い読者のための第三のチンパンジー』である。
 ヒトはチンパンジー属の2種(チンパンジー、ボノボ)とDNAを98.4%も共有している。そして、ヒトとチンパンジーのDNAの違いは、チンパンジーとほかの大型類人猿のDNAの違いよりも小さい。それゆえ、ヒトはある意味で「第三のチンパンジー」ともいえる。しかしその一方で、ヒトはチンパンジーらとは異なる、ユニークな特性を持っているというのも、また明らかであろう。では、そのユニークな特性とは何なのか。ヒトをヒトたらしめているものは何か。それが、本書のメインテーマである。
 当のテーマにふさわしく、本書の議論は、ヒトの進化史(第2章)に始まり、性行動(第3章)、言語(第6章)、農業の発明(第8章)、ジェノサイドに象徴される暴力性(第13章)などに及んでいく。正直に言えば、2015年に読む本としては、その内容に目新しさはさすがに見出しがたいだろう。ただそうであるにもかかわらず、最後まで読者を退屈させずに読ませてしまうあたりは、さすがダイアモンドというところか。また、本書後半部で、「どうしてある民族はほかの民族を征服できるほどの優位性を獲得できたのか」という議論(第12章)や、「かつて栄えた文明はいかにして没落していったのか」といった議論(第13章)がなされているのも、やはりこの著者ならではといえるだろう。最終章における、環境破壊と大絶滅に警鐘を鳴らす声にも、真に迫るものがある。
 「若い読者のための」と付いているだけあって、内容的にも分量的にもさすがに読みやすいものに仕上がっている。『人間はどこまでチンパンジーか?』になかなか手が伸びなかった人は、本書に挑戦してみるのがよいかもしれない。

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