ナイトクローラー [Blu-ray] の感想
参照データ
タイトル | ナイトクローラー [Blu-ray] |
発売日 | 2016-02-19 |
監督 | ダン・ギルロイ |
出演 | ジェイク・ギレンホール |
販売元 | ギャガ |
JANコード | 4589921402248 |
カテゴリ | DVD » ジャンル別 » 外国映画 » ドラマ |
購入者の感想
劇中で描かれるのは、学歴もなく、まともな職にもつけない青年が、事故や犯罪の現場映像をテレビ局に売る仕事の存在を知り、それを生業として業界をのしあがろうとする様である。
本作のユニークさはギャップにある。主人公が成長し実績をあげていくサクセスストーリー。そんなポジティヴな物語の枠組みを踏襲しているにもかかわず、彼の行動がとにかくおぞましいのだ。
主人公が使用する機器が、安っぽい小型カメラから、高価な大型カメラへ。テレビ局に売り込む映像が、稚拙で未編集な素人同然のものから、次第に上達して安定したものへ。そうした主人公の成長や成功の過程を伝える視覚的な演出もうまい。しかしながらポジティブな変化とは裏腹に、彼の行為や撮影映像が陰惨なものになっていく。
要所で鳴る叙情的でメロディアスな音楽も、劇中で描かれる事態とはどこかズレており、その不調和が生み出す不穏さも絶妙である。
撮影もすばらしく、夜間における光の使い方が非常に効果的。とくにLAの街並みを遠目に写した夜景が美しい。クライマックスのカーチェイスも、へたなアクション映画よりもずっと臨場感があり、見応えがある。
なにより主人公を演じるジェイク・ギレンホールの薄気味悪さ。不健康そうで表情の乏しい顔つき、ギョロリと見開かれた目、か細く抑揚のない声音。彼がどれだけ正論めいたことを唱えようとも、むしろ彼が真っ当なことを話すほど、その背後にひそむ危うさがにじみ出す。
主人公は学歴や職歴に恵まれず社会から疎外されていた。そんな彼が社会で評価を得る手法は、ある意味で、彼を認めなかった社会に対する復讐のようにも見える。また、手段を問わず儲けた者が勝ちという彼の歪んだ論理は、まぎれもなく自由競争を是とする “アメリカン・ドリーム” の負の側面だろう。
本作のユニークさはギャップにある。主人公が成長し実績をあげていくサクセスストーリー。そんなポジティヴな物語の枠組みを踏襲しているにもかかわず、彼の行動がとにかくおぞましいのだ。
主人公が使用する機器が、安っぽい小型カメラから、高価な大型カメラへ。テレビ局に売り込む映像が、稚拙で未編集な素人同然のものから、次第に上達して安定したものへ。そうした主人公の成長や成功の過程を伝える視覚的な演出もうまい。しかしながらポジティブな変化とは裏腹に、彼の行為や撮影映像が陰惨なものになっていく。
要所で鳴る叙情的でメロディアスな音楽も、劇中で描かれる事態とはどこかズレており、その不調和が生み出す不穏さも絶妙である。
撮影もすばらしく、夜間における光の使い方が非常に効果的。とくにLAの街並みを遠目に写した夜景が美しい。クライマックスのカーチェイスも、へたなアクション映画よりもずっと臨場感があり、見応えがある。
なにより主人公を演じるジェイク・ギレンホールの薄気味悪さ。不健康そうで表情の乏しい顔つき、ギョロリと見開かれた目、か細く抑揚のない声音。彼がどれだけ正論めいたことを唱えようとも、むしろ彼が真っ当なことを話すほど、その背後にひそむ危うさがにじみ出す。
主人公は学歴や職歴に恵まれず社会から疎外されていた。そんな彼が社会で評価を得る手法は、ある意味で、彼を認めなかった社会に対する復讐のようにも見える。また、手段を問わず儲けた者が勝ちという彼の歪んだ論理は、まぎれもなく自由競争を是とする “アメリカン・ドリーム” の負の側面だろう。