自閉症スペクトラムがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版) の感想

　もしも、近親者（特に自分の子供）が自閉症スペクトラムを持っていたら、どのようにして付き合えば良いのだろうか？

　この本は、自閉症スペクトラムの専門医の本田秀夫さんが、自閉症スペクトラムの特徴や、受診の仕方や、育児・療育のコツなどを一般向けに説明するものであるが、実際にこの本を読んでみると、本田さんの理論が自閉症スペクトラムの当事者＋家族（特に両親）の見方に立っていることがすぐに分かる。
　なお、本田さんはこの本の中で、「自律スキルと、ソーシャルスキルの2つを同時に伸ばす必要がある」と説いていたが、確かにこれらのスキルのバランスを取ることは、安定した社会生活を送る上で必要不可欠と言える。
　また、本田さんはこの本の中で「過剰訓練は絶対にしてはならない！」と強く訴えていたが、この警告は、うつ病や、強迫性障害の発症などといった、最悪の事態（二次障害）を防ぐ上で極めて重要なことである。
　この2つだけでも、本田さんが自閉症スペクトラムに関する、高い見識を持っているのは明らかと言える。
　しかも、本田さんによると、自閉症スペクトラムの特徴を持つ人は、軽微なもの（非障害性）を含めると、日本人全体の10人に1人に上ると言われている。
　そう考えると、自閉症スペクトラムの特徴を持つ子供はすぐ身近にいてもおかしくないのである。
　だから、この本は多くの子供を持つ人に読まれて欲しいと思う。