その未来はどうなの? (集英社新書) の感想
参照データ
タイトル | その未来はどうなの? (集英社新書) |
発売日 | 2012-08-17 |
製作者 | 橋本 治 |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087206548 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » イデオロギー |
購入者の感想
テレビ、出版、シャッター商店街、歴史、経済、民主主義などなど、「分からないことだらけ」であることは分かっているけど、でも、はっきりと「なにがどう分からないのか」ということがらを、焦らずに問題から焦点を置いて、「そうか、こう分からなかったのか」と考えてゆきます。
つまりこれはさまざまな問題を解決するのではなく、著者といっしょに考え、ときほぐし、どこがわかりづらかったのかを明らかにし、自分の立ち位置をたしかめ、そしてこれからどうしてゆくのかを見つめなおす、というたぐいの本です。なにかひとつの答えを求めている人や、すでに固定観念でがんじがらめの人が読んでしまえば、いったいなにを言っているんだ? となりますので、脳みそをふにゃふにゃにしてから読むことをおすすめします。
ああでもなくこうでもなく、そして時代は続いて行く。—成長から成熟へ。
つまりこれはさまざまな問題を解決するのではなく、著者といっしょに考え、ときほぐし、どこがわかりづらかったのかを明らかにし、自分の立ち位置をたしかめ、そしてこれからどうしてゆくのかを見つめなおす、というたぐいの本です。なにかひとつの答えを求めている人や、すでに固定観念でがんじがらめの人が読んでしまえば、いったいなにを言っているんだ? となりますので、脳みそをふにゃふにゃにしてから読むことをおすすめします。
ああでもなくこうでもなく、そして時代は続いて行く。—成長から成熟へ。
不思議な作品です。ここには答えはありません。あるのは、日常で提示される「大きな」問題への素朴で単純な疑問です。この大きな問題には様々な時事的な論点が含まれます。出版、TPP、テレヴィ、商店街、経済そして民主主義の将来までカヴァーされているほどです。疑問は、問題の根底にまでさかのぼって提示されます。疑問が呈示されても答えは示されません。未来は所詮不可知の領域なのです。どうしてこの現在の袋小路にたどり着いたのか、そしてその袋小路へも現代の日本人は望んでたどり着いたという背景がさりげなく指摘されます。呈示される疑問が明らかにするのは、私たちの思考や認識がどれほどいい加減なイメージや型によってかたちづけられているのかという単純な真理です。そういう意味では、分かりにくい不親切な作品なのかもしれません。「男と女の未来」の部分は「美人論」を含めて必読ですね。