家族信託活用マニュアル の感想

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参照データ

タイトル家族信託活用マニュアル
発売日販売日未定
製作者河合 保弘
販売元日本法令
JANコード9784539724576
カテゴリ » ジャンル別 » 投資・金融・会社経営 » 一般・投資読み物

購入者の感想

 著者は、本書で、信託を使えば遺留分減殺請求が防げる旨、繰り返し述べる。

 例えば、「これらは、民法上に遺留分制度が存在している限り、遺言では完璧な対応が不可能な部分です。」「家族信託は、これらの各ステージの悩みに対して、たった1枚の契約書で対応できてしまうのです。」(以上、本書34頁)、「民法上の相続制度の不便で不自由な部分をまったく気にしないで、所有者が自由に家族信託契約をすることができるということは、間違いありません。」(本書41頁)として、読者に、信託が遺留分減殺請求を防げる制度であるとの期待を抱かせる。

 そして、「遺留分対抗型信託」という活用事例を挙げ(本書178頁)、「Cさんが遺留分減殺請求をしてきたとしても、信託法91条に基づく受益権消滅の規定により遺留分減殺請求権が発生しないと主張でき」るという(本書181頁)。

 しかし、学理上、「当然ながら信託が民法上の規定すべてに優越するということにはならない。たとえば、民法上の遺留分の規定に抵触することは許されない」(『信託法【第4版】』(新井誠)91頁)、「後継ぎ遺贈型受益者連続信託も遺留分減殺請求の対象となる」(同書513頁)とされており、信託で遺留分減殺請求を防ぐことはできない。

 なお、著者は、「万に一つ裁判所がCさんの遺留分を認めたとしても」(本書181頁)としているが、万に一つどころではなく、学理上、遺留分減殺請求は確実に認められるのであるから、裁判所が遺留分減殺請求を否定する可能性はほとんどない。

 また、著者は、「遺留分給付型信託」という活用事例も挙げ(本書174頁)、親不孝な子どもCさんには賃料等の4分の1を給付すれば、それ以上の給付を行う必要はないとする(本書177頁)。

 しかし、後継ぎ遺贈型受益者連続信託の場合、第2受益者が条件付で受益権を通じて取得する相続財産も、遺留分の算定の基礎に含まれるから(前掲『信託法【第4版】』513頁)、Cさんに4分の1を給付しただけでは、第1受益者の相続財産を算定の基礎としただけであるので、これでは足りないことになる。

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