民法(債権関係)改正法案の概要 の感想

「法制審議会民法(債権関係)部会の幹事である著者が，部会審議や部会資料に沿って民法改正法案を客観的にかつわかりやすく解説」(帯コメント)
１．　改正(予定)後の概要を端的に把握することができる
本書の構成としては，大まかに以下のようなものとなっている。
改正後の条文→改正後の内容→改正前民法との関係(変更していない部分・変更した部分・確立した判例の明文化等)
はしがきにも書いてあるとおり，あくまで概要を示すことを目的としていることから，学説などの議論は一切なされていない。
上記帯コメントとおり客観的でわかりやすい解説がなされている。
そのため，改正の内容を知りたい，改正前民法との関係を知りたいといった実務家のニーズにも十分応えていると思う。
２．　改正前民法において暗黙の前提となっている議論を把握することができる
改正前民法の復習とタイトルに書いたのは，学部生，ロー生にも薦めることができる１冊だからである。
上述したとおり，改正後の条文には，改正前民法において確立した判例が存在するor学説上も異論がない論点が明文化されたものが多々ある。
そこで，学部生やロー生にとっても，本書を通じて改正後の民法の概要を知ることができるとともに，現行民法ですでに暗黙の前提となっている議論について再確認できる点でかなり有用な一冊であると思う。