形而上学講義 の感想

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参照データ

タイトル形而上学講義
発売日販売日未定
製作者オルテガ・イ・ガセット
販売元晃洋書房
JANコード9784771020252
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » スペイン・ポルトガル

購入者の感想

 形而上学の講義と有るが、実際には形而上学を学ぶなんてのは欺瞞だ、いや学問と云うものはそもそも上っ面の好奇心や外からの押し付けなぞで学べる様なものではなく、先ず生の必要性が有って、その緊急性に応える為に学問が有るのだ、と云うところから講義が始まる。それから先の全体の2/3程はオルテガの生の哲学が展開され、中身はまぁハイデガーやサルトルやヤスパースを足して教養主義的な味付けをした様なもの。知に先立つのは生だ、生とは私と世界とから成るものであって、私は世界の中に否応無く投げ込まれているのだが、その世界の中で自分を自覚することが何より大事なのだ、自覚して決断することによって初めて生は私のものと言えるのだ、知とは生の方向付けであって、既に有るものを明らかにすることであり、自分自身を作り上げる行為なのだ………等々と、まぁ実存哲学のメジャー所では「現存在」と呼ぶものを「生」に置き換えて平易に解き明かしている。『大衆の反逆』を読んで知識人が自らに課す使命なんてものに心を動かされた読者であれば、読んで感動するかも知れないことが書かれていてそれなりに面白い。

 但し形而上学の中身の話が出て来るのはほんのちょびっとで、形而上学は実は我々全員が既に実行している世界の構築なのだ、「人間は《形而上学》である」、等と解った様な解らない様な断定を下し、後は世界の実在性を巡る観念論的な懐疑についてああでもないこうでもないと云う迷走が続いて何となく終わる。形而上学についての講義を期待すると肩透かしを食らうので、飽く迄生の哲学に関するオルテガ節を堪能したいと云う読者向けだろう。

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