詐欺の帝王 (文春新書) の感想
参照データ
タイトル | 詐欺の帝王 (文春新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 溝口 敦 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784166609611 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
オレオレ詐欺を始めとする「システム詐欺」とヤミ金・暴力団との深い関係を記した当著。
その筋の人たちに関する知識・造詣は深く、エピソードも非常に生々しいため、普段触れることのできない世界を臨場感をもって覗き見ることができた。
テレビでは見られない作者の著ならではのものだろうと思う。
ただ、端々に観られる筆者の提言は首を傾げたくなるものが多く、蛇足感が拭えない。
特に下記の記述は作者の感覚を疑う
「テレカを使った詐欺が野瀬の人生を狂わせたということだろう。NTTは(中略)詐欺を蔓延させた社会的責任を逃れるものではあるまい」
本書では詐欺を始め暴力、殺人と犯罪の限りが記述されているが、その犯罪を起こした当事者を明確に糾弾した記述はあまり見られない。
が、犯罪の被害者であるNTTに対してはコレである。
テレカ詐欺では被害者は純粋にNTTだけで、その他に被害者は居ないのに、NTTには詐欺を蔓延させた責任がある?野瀬を詐欺に走らせ人生を狂わせた?
堅気の自分からすると意味不明である。
その筋の方々へのインタビューを重ねるうちシンパシーを感じるようになるのは分かるが、あなたが相対しているのは多くの罪のない人々を私欲のために陥れている人間だということは忘れてならないことだろうと思う。
単純に裏社会をのぞきみるのには良い一著だと思う。
その筋の人たちに関する知識・造詣は深く、エピソードも非常に生々しいため、普段触れることのできない世界を臨場感をもって覗き見ることができた。
テレビでは見られない作者の著ならではのものだろうと思う。
ただ、端々に観られる筆者の提言は首を傾げたくなるものが多く、蛇足感が拭えない。
特に下記の記述は作者の感覚を疑う
「テレカを使った詐欺が野瀬の人生を狂わせたということだろう。NTTは(中略)詐欺を蔓延させた社会的責任を逃れるものではあるまい」
本書では詐欺を始め暴力、殺人と犯罪の限りが記述されているが、その犯罪を起こした当事者を明確に糾弾した記述はあまり見られない。
が、犯罪の被害者であるNTTに対してはコレである。
テレカ詐欺では被害者は純粋にNTTだけで、その他に被害者は居ないのに、NTTには詐欺を蔓延させた責任がある?野瀬を詐欺に走らせ人生を狂わせた?
堅気の自分からすると意味不明である。
その筋の方々へのインタビューを重ねるうちシンパシーを感じるようになるのは分かるが、あなたが相対しているのは多くの罪のない人々を私欲のために陥れている人間だということは忘れてならないことだろうと思う。
単純に裏社会をのぞきみるのには良い一著だと思う。
「オレオレ詐欺の帝王」についての本。
まず僕は溝口ノンフィクションは好きである。
だが、表題の通り72歳の溝口にはオレオレのような新手の若者犯罪は疎かったのか、と感じた。
確かにこの「X」が詐欺師として1流なのは間違いないし、
きちんとインタビューしての結果だと言うのも分かる。それも踏まえて「話ができすぎて」いるのだ。
確かに正確な面もあるだろうが、だいぶ「盛ってる」と感じた。それも不良や詐欺師の世界では
当たり前のやり方なのだが、そういう観点で見るべきだろう。
このXは九州の進学校から東京に出てくる。
現在30代なので、1995年前後のはずである。
書かれてはいないが、恐らく明治。
そこで「悪い友達」ができる。
書かれてはいないが恐らく明大中野のギャング出身で金持ちの息子だが、
悪さが過ぎて数年、海外に行かされていたと言う奴だ。
そしてイベサーに出入りする。
そこで「東大の凄い人」に出会う。
彼はヤクザをかわすために、ヤクザ幹部の息子たち(高校生、大学生)を仲間に引き入れる。
ヤクザ幹部の息子ならトラブルを回避できると考えたのだ。
そこで「人の使い方、ヤクザのかわし方を習った」そうだ。
彼はマッキンゼーに就職した。
イベサーも遊びの延長で、普通に就職する。
書かれてはいないが電通か博報堂。
しかしスーフリ事件のとばっちりで子会社に出向。
就職してもイベント関係の副業をしてた関係で会社に睨まれたそうだ。
そして辞めることとなる。
学生時代から、イベント関係で儲け月に数十万円も稼いでたそうだ。
OBとなっても後輩に「デカい顔」をしてたわけだ、そして痛い目に遭ったと言うわけだ。
よってXはスーフリの和田は嫌ってる。
そこからXはオレオレ詐欺に手を染める。
ここからは「飛ばした指は1本や2本では済まない」と言うように、一気にキナ臭くなる。
山口組系五菱会が警察に捕まって「チャンスだった」と言うのは後ネタだろう。
まず僕は溝口ノンフィクションは好きである。
だが、表題の通り72歳の溝口にはオレオレのような新手の若者犯罪は疎かったのか、と感じた。
確かにこの「X」が詐欺師として1流なのは間違いないし、
きちんとインタビューしての結果だと言うのも分かる。それも踏まえて「話ができすぎて」いるのだ。
確かに正確な面もあるだろうが、だいぶ「盛ってる」と感じた。それも不良や詐欺師の世界では
当たり前のやり方なのだが、そういう観点で見るべきだろう。
このXは九州の進学校から東京に出てくる。
現在30代なので、1995年前後のはずである。
書かれてはいないが、恐らく明治。
そこで「悪い友達」ができる。
書かれてはいないが恐らく明大中野のギャング出身で金持ちの息子だが、
悪さが過ぎて数年、海外に行かされていたと言う奴だ。
そしてイベサーに出入りする。
そこで「東大の凄い人」に出会う。
彼はヤクザをかわすために、ヤクザ幹部の息子たち(高校生、大学生)を仲間に引き入れる。
ヤクザ幹部の息子ならトラブルを回避できると考えたのだ。
そこで「人の使い方、ヤクザのかわし方を習った」そうだ。
彼はマッキンゼーに就職した。
イベサーも遊びの延長で、普通に就職する。
書かれてはいないが電通か博報堂。
しかしスーフリ事件のとばっちりで子会社に出向。
就職してもイベント関係の副業をしてた関係で会社に睨まれたそうだ。
そして辞めることとなる。
学生時代から、イベント関係で儲け月に数十万円も稼いでたそうだ。
OBとなっても後輩に「デカい顔」をしてたわけだ、そして痛い目に遭ったと言うわけだ。
よってXはスーフリの和田は嫌ってる。
そこからXはオレオレ詐欺に手を染める。
ここからは「飛ばした指は1本や2本では済まない」と言うように、一気にキナ臭くなる。
山口組系五菱会が警察に捕まって「チャンスだった」と言うのは後ネタだろう。
仮名“本藤彰”がサークルで成り上がり、さらにそこからヤミ金、システム詐欺に移行していく様が書かれています。
そして、その経歴などから、システム詐欺に関わる人たちの人物像を描き出そうとしています。
まず、サークルでのビジネスについて書かれています。
ただ遊びまわるだけの存在だと思っていましたが、その背後には信じられないほどの金儲けが潜んでいたというのが衝撃的でした。
何となくですが、就職活動でサークルの経験が買われるという噂の理由が分かった気がします。
大学卒業後、数年の就職期間の後に五菱会のヤミ金組織を乗っ取り、その組織が自然にシステム詐欺に移行した様子が書かれています。
本藤自身が暴漢に襲われた事件の他、実際に報道された詐欺師たちの逮捕、殺人事件などもいくつか触れられています。
本藤が手にした儲けの信じられない規模は見方を変えればそれだけ詐欺が横行している現実をよく示しているとも言えます。
さて、本書にはもうひとつ隠されたテーマのようなものがあって、それは“工藤明生”という人物についてです。
“工藤明生”というのは主にネット上で存在が噂される裏社会の大物ですが、本書に書かれた経歴からどうやら“本藤彰”は“工藤明生”を指していると思われます。
いびつな絆 関東連合の真実 (宝島SUGOI文庫)では、“工藤明生”をネット住民の妄想とした後に取って付けたように次のことが書かれています。
「もっとも、オレオレ詐欺の頭領として大金をつかみ、数年前まで歌舞伎町のキャバクラで派手に飲んでいた「工藤」を名乗る男の噂なら耳にしたことがあるが……。」(文庫版 P199)
この経歴はまさに本書の“本藤彰”と符合します。
そして、その経歴などから、システム詐欺に関わる人たちの人物像を描き出そうとしています。
まず、サークルでのビジネスについて書かれています。
ただ遊びまわるだけの存在だと思っていましたが、その背後には信じられないほどの金儲けが潜んでいたというのが衝撃的でした。
何となくですが、就職活動でサークルの経験が買われるという噂の理由が分かった気がします。
大学卒業後、数年の就職期間の後に五菱会のヤミ金組織を乗っ取り、その組織が自然にシステム詐欺に移行した様子が書かれています。
本藤自身が暴漢に襲われた事件の他、実際に報道された詐欺師たちの逮捕、殺人事件などもいくつか触れられています。
本藤が手にした儲けの信じられない規模は見方を変えればそれだけ詐欺が横行している現実をよく示しているとも言えます。
さて、本書にはもうひとつ隠されたテーマのようなものがあって、それは“工藤明生”という人物についてです。
“工藤明生”というのは主にネット上で存在が噂される裏社会の大物ですが、本書に書かれた経歴からどうやら“本藤彰”は“工藤明生”を指していると思われます。
いびつな絆 関東連合の真実 (宝島SUGOI文庫)では、“工藤明生”をネット住民の妄想とした後に取って付けたように次のことが書かれています。
「もっとも、オレオレ詐欺の頭領として大金をつかみ、数年前まで歌舞伎町のキャバクラで派手に飲んでいた「工藤」を名乗る男の噂なら耳にしたことがあるが……。」(文庫版 P199)
この経歴はまさに本書の“本藤彰”と符合します。
現在、オレオレ詐欺やそこから派生する多くの詐欺が本書で説明されている「システム詐欺」という基本構造の上に立っていることに加え、規模などから考えて、その中核を成した本藤彰(仮称)という文字通り、「詐欺の帝王」と呼ばれるに値する当人に取材を試みた点において、類書の中でシステム詐欺の構造的な内実を捉えた貴重な書籍であることは間違いないと思われる。
また、その上で文章や内容については、本藤彰本人の主観も殺すことなく、盛り込まれており見方によっては客観性に欠けると評価される読者もいるとは思うが、個人的には巨大犯罪組織を率いた当事者の心の内や人格が垣間見えたような気がした。
本書で紹介されている規模の詐欺組織であれば、組織を構成する人間で逮捕された者は数人では収まらないだろう。
いくら用意周到に注意を怠らなかったとしても、善悪は別としてある程度の人格者でなければ、内側から崩壊し構成員の裏切りにより、本人も司法によって裁かれたに違いない。
その点からどのような人物であったかある程度の想像がつく。
巨大詐欺の首謀者という社会的に裁かれるべき対象でありながら、一方で多額の寄付や、現在の慈善事業への取り組みなどを見るとどのように評して良いのかわからなく部分もあるが、司法で裁かれるべき人物であるのは忘れてはならない。
レビューの本旨からは逸れるのだが、某巨大匿名掲示板において本藤彰は裏社会のフィクサーとされるKではないかとしばしば噂されている。
なぜならば本書で紹介されている本藤彰とK氏の経歴があまりにも酷似しているせいであろう。
Kの名前(同音)が社会的に有名になったのは、六本木での覆面集団が人違いでバットを用いて集団暴行死させた事件で有名になった関東連合のメンバーSがKの名前に似せて関東連合関連の書籍を出版したことが初めとされている。
本の中でSはKの存在を否定している。しかしながらK氏の名前(同音)を主人公とする書籍は橘玲氏がその数年前に出版している。
その事から考えても、SのKが実在しないという説は辻褄が合わないように思う。
また、その上で文章や内容については、本藤彰本人の主観も殺すことなく、盛り込まれており見方によっては客観性に欠けると評価される読者もいるとは思うが、個人的には巨大犯罪組織を率いた当事者の心の内や人格が垣間見えたような気がした。
本書で紹介されている規模の詐欺組織であれば、組織を構成する人間で逮捕された者は数人では収まらないだろう。
いくら用意周到に注意を怠らなかったとしても、善悪は別としてある程度の人格者でなければ、内側から崩壊し構成員の裏切りにより、本人も司法によって裁かれたに違いない。
その点からどのような人物であったかある程度の想像がつく。
巨大詐欺の首謀者という社会的に裁かれるべき対象でありながら、一方で多額の寄付や、現在の慈善事業への取り組みなどを見るとどのように評して良いのかわからなく部分もあるが、司法で裁かれるべき人物であるのは忘れてはならない。
レビューの本旨からは逸れるのだが、某巨大匿名掲示板において本藤彰は裏社会のフィクサーとされるKではないかとしばしば噂されている。
なぜならば本書で紹介されている本藤彰とK氏の経歴があまりにも酷似しているせいであろう。
Kの名前(同音)が社会的に有名になったのは、六本木での覆面集団が人違いでバットを用いて集団暴行死させた事件で有名になった関東連合のメンバーSがKの名前に似せて関東連合関連の書籍を出版したことが初めとされている。
本の中でSはKの存在を否定している。しかしながらK氏の名前(同音)を主人公とする書籍は橘玲氏がその数年前に出版している。
その事から考えても、SのKが実在しないという説は辻褄が合わないように思う。