Aeneid (Oxford World's Classics) の感想

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ローマ帝国の起源は、紀元前１２００年のトロイ戦争において、滅亡寸前のトロイを逃れてローマへと向かった英雄アエネイアスに遡る。紀元１世紀、アウグストゥスの時代にヴェルギリウスによって書かれた『アエネイアス（Aeneid）』は、こうしたローマの起源を格調高く歌い上げた壮大な叙事詩である。したがって、これまでにも多くの英訳版が刊行されてきた。本書の特徴は、訳者のフレデリック・アール氏が、叙事詩としての特性を英語でも表現しようと、読むだけでなく、聞くにも堪えるものとしていることである。すなわち、補助的説明語の使用を減らし、なるべく原文のラテン語の一単語を英語でも同じような意味になる一単語に置き換えるように苦心しているのである。このようにして英訳された本書には、さながら吟遊詩人によってでも歌われたような、叙事詩としての味わいがある。