草枕 (ホーム社漫画文庫) (MANGA BUNGOシリーズ) の感想

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参照データ

タイトル草枕 (ホーム社漫画文庫) (MANGA BUNGOシリーズ)
発売日2010-10-08
製作者夏目 漱石
販売元ホーム社
JANコード9784834263329
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

20代の頃、漱石はどうも苦手だった。
「猫」も「坊っちゃん」も「三四郎」も「それから」も最後まで読めなかった。(唯一の例外は「こころ」で、これには感動したが。)鴎外びいきの太宰治が、鴎外に比べると漱石は退屈だ、とどこかで言っていた。私も、そうだよなと納得した覚えがある。

40歳を過ぎて「草枕」を手にした。
変な小説だと思った。筋らしい筋はない。中年の画家が温泉場に絵を書きに行き、様々な人と出会うが、それによって自らが変貌することはない。また、出会った相手も変貌することはない。画家にとって、それらの人々は、絵を書くための対象でしかない。最後まで傍観者にとどまる。ドラマチックな展開はない。

でも面白い。枕頭の書。

二十代の頃は、本を読むことを自分に課していた。1日1冊のペースで読んでいた。漱石を退屈だと思ったのも無理はない。そんな義務的な読み方で、この本は読めない。

ツアーで観光地の美術館に行って、ガイドに従って絵を見ていく。この絵、知ってる!、これがモネか!あっちがゴッホか!有名な絵を見て得した気分になる。やがて時間がきてバスに戻り、また別の観光地へと向かう。

こうした見方ではこぼれ落ちる絵がある。一瞬、通り過ぎただけでは味わい得ない芸術がある。一枚の絵を、何度もかよって、じっくり味わう、そうして初めて分かることがある。小説もまた同じなんだと思う。

一度通読したあとは、読みたいところを、読みたいように読む。ゆっくりと、味わいながら。若い頃には分からなかった面白さが、分かるようになる。年を取るのもいいものだと思う。

芥川龍之介が、徒然草を、つまらない本だ、なぜこんな本が第一級の古典なのだろう、とけなしていたが、そう思うのも無理はない。年を取らなければ、あの良さは分からない。本書も同様だと思う。年を取らなければ分からない。

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