仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書) の感想

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参照データ

タイトル仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書)
発売日販売日未定
製作者春日 太一
販売元PHP研究所
JANコード9784569804187
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇

購入者の感想

この人の勝新本が面白かったので読んだ。これも名著!

「仲代達矢が語る 日本映画黄金時代」というタイトルだが、この人ほど日本映画の歴史を語るのにふさわしい人物はほかにいない
大手の映画会社とあえて専属契約を取らなかったため(金銭的には苦労したらしいが)日本映画全盛期の様々な伝説たちと仕事ができた
監督では黒澤、成瀬、木下、岡本喜八、勅使河原、市川崑、五社英雄、そして一番相性が良かったという小林正樹
俳優では勝新、三船、丹波哲郎、石原裕次郎、田中邦衛,高峰秀子、原節子、岩下志麻、夏目雅子(一番惚れた女優だったらしい)
etc・・・
この豊饒な時代!こんなに凄い人と共演してきたのは間違いなく仲代さんだけ
勿論フリーだから完全な実力で勝ち取ってきたのである
濃いメンツだから面白いエピソードは多いけど、それは本読んでください

面白いなとおもうのは一年の半分を映画、半分を舞台ときっちり分けて仕事していたそのスタイル
舞台の時期にどんなにおいしい映画の主役オファーが来ても全部断っていたらしい
舞台をしていたからこそ、映画というものの特質、また映画史というものを客観的に見てこれた
そしておいしい話ではなく、本当に自分が出たい良い映画にだけ出るという贅沢も許された
その辺の頑固さとクレバーさもかっこいい

そしてこれほどの人だから今の日本映画への文句も説得力がある
特に印象的だったのが今の映画は何でもセリフで説明したがるということ
何でもセリフで説明する脚本も演出も全部クソ!
この辺は心の底から同意。映像や演技で見せないで何のための映画だよ
客を馬鹿にしてるし、客は馬鹿にすると本当に馬鹿になるので、もっとプライド持ってほしい

春日さんの日本映画への確かな愛と知識と的確なインタビューがあればこその名著
とりあえず今まで怖くて見れなかった「切腹」(仲代さんの一番のお気に入り)と気になってた岡本喜八映画借りてみようと思う

 最初に語られるのは生い立ちですが、けっこう凄まじいんですよね。疎開先で空腹のあまり、とんでもないものまで口にしたり、疎開先から返ってきたら、お母さんが住み込み先の弁護士先生とできて弟が生まれていたり。さらには、《毎日のように空襲で逃げまくっていました。ある時、親戚の女の子と手をつないで逃げて、やっと逃げおおせたと思って、フッと見たらその子の腕だけ持っていたんです。-中略- 決闘の瞬間にそういうものが無意識の中に蘇ってくる》というあたりは鬼気迫るものがあります(p.104)。こうした体験が『椿三十郎』『切腹』などの息詰まるような緊張感を生んでいるんでしょうね。

 侍の歩き方が出来てないと半日も黒澤明にダメ出しくう、ある意味、贅沢な日々はもう映画界には期待できないんでしょうね。《とにかく役者は歩き方だ、とくに時代劇の歩き方はこういうもんだと徹底的にそこで意識しました》というんですが(p.62)。にしても、『影武者』のラストでは馬300頭をフラフラの状態にするため、北海道中の獣医100人が集められたけど、何頭も死んで、人も馬の下敷きになって何人も骨折して救急車10台っていうんですから…《あの一週間は今思い出しても身震いします》というのもわかります(p.222-)。

 観たくなったのは、小林正樹監督の『食卓のない家』、五社英雄監督の『人斬り』ですかね。『人斬り』なんて、三島由紀夫が死ぬ一年前に仲代さんと共演したんですが、他にも勝新、裕次郎などが共演していて、ある意味、すごいカルトムービー。撮影の合間に三島由紀夫と祇園で飲んでるとき、なんでそんなに肉体を鍛えているんだ、と訊いたら「俺は死ぬ時に切腹して死ぬんだ。その時にこの腹筋のところから脂身が出ると、俺の美学に反する」という答えが返ってきたそうです。

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