ヴァルター・ベンヤミン著作集 (10) 一方通交路 の感想
参照データ
タイトル | ヴァルター・ベンヤミン著作集 (10) 一方通交路 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ヴァルター・ベンヤミン |
販売元 | 晶文社 |
JANコード | 9784794910707 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 全集・選書 » ドイツ文学 |
購入者の感想
愛してやまなかった女優アーシャ・ラツィスへの献辞を扉に冠し、失恋の痛みを人生の重みにまで高めた珠玉のエッセイ集です。
もし、プラトンの『饗宴』が愛の物語だとすれば、同じくラツィスに寄せられた『モスクワ日記』は愛の散文、そして、この『一方通交路』は愛の短冊とでもいうべき位置を占めるといえます。
僕たちにとって、失恋を受け取るやり方には様々なものがありますが、この書物の読み方もまた比較的自由度が高く、思いがけない出逢いを経験することができるでしょう。ときには本と娼婦が、ときには子供の玩具と大人のしきたりが、電光石火のように見事に接触する姿は、近代という物語形式の変貌時期を自身で経験したベンヤミンの、幼年時代との「失恋」としても浮かび上がってきます。
言は要すまい。時代との失恋とラツィスとの失恋、その二つの層が重なり合う短文エッセイの醍醐味を、ときには世の中を占いながら、ときにはあなたの焦がれる人を望みながら、木の葉が風に揺られる麗らかな日差しのもと、ぜひ味わってみてください。
もし、プラトンの『饗宴』が愛の物語だとすれば、同じくラツィスに寄せられた『モスクワ日記』は愛の散文、そして、この『一方通交路』は愛の短冊とでもいうべき位置を占めるといえます。
僕たちにとって、失恋を受け取るやり方には様々なものがありますが、この書物の読み方もまた比較的自由度が高く、思いがけない出逢いを経験することができるでしょう。ときには本と娼婦が、ときには子供の玩具と大人のしきたりが、電光石火のように見事に接触する姿は、近代という物語形式の変貌時期を自身で経験したベンヤミンの、幼年時代との「失恋」としても浮かび上がってきます。
言は要すまい。時代との失恋とラツィスとの失恋、その二つの層が重なり合う短文エッセイの醍醐味を、ときには世の中を占いながら、ときにはあなたの焦がれる人を望みながら、木の葉が風に揺られる麗らかな日差しのもと、ぜひ味わってみてください。